診断方法
【診断基準】
ヘテロ接合体の場合、先天的にプロテインC活性値が約50%以下に低下する。活性値が抗原量と合致する
プロテインC低下症(タイプI)と、抗原量が正常であるが、活性が約50%以下に低下するプロテインC分子異常
症(タイプII)とがある。ホモ接合体とダブルへテロ接合体の場合は、プロテインC活性と抗原がともに約5%以下
に著減している。
【主要な症状】
ヘテロ接合体の場合、他の先天性血栓性素因と同様に、下肢深部静脈血栓症、血栓性静脈炎やこれに伴う
肺血栓塞栓症を若年期から反復する。動脈性血栓はまれである。ホモ接合体やダブルへテロ接合体の場合、
新生児期に頭蓋内出血・梗塞、大腿?下腿、臀部、腹部、陰嚢などの広汎な紫斑や出血性壊死、さらには微小血栓による多臓器不全をきたす電撃性紫斑病という特殊な病態で発症する。
【診断に有用な検査所見】
プロテインCは肝臓で産生されるビタミンK依存性抗凝固因子であり、ビタミンK欠乏状態や肝硬変などの
非可逆的な肝障害で後天的にプロテインC活性が低下する。このほか、他の抗凝固因子欠乏症と同様、DIC
などの後天性血栓形成病態で消費性に低下することがある。したがって、先天性欠乏症の診断には、他の
ビタミンK依存性凝固因子(プロトロンビン、第VII因子、第X因子など)活性の測定を行い、選択的なプロテインC
欠乏を証明する必要がある。また、
- ①
- 血栓症が家系内で多発している
- ②
- 若年期に血栓症が発症する
- ③
- 血栓症が反復する
などの情報が診断に有用である。
血漿プロテインC活性は年齢とともに上昇して成人レベルに達する。また二次的に低下することがある。したがって、生理的な活性の基準値(参考文献4)を参考に、家族歴と活性値の動態から先天性欠乏症を疑って、遺伝子診断をすすめることが望ましい。
参考文献
- 小児慢性特定疾患診療マニュアル 2006年 診断の治療社
- わかりやすい血栓と止血の臨床 日本血栓止血学会編集 2011
- 別冊 日本臨床 血液症候群Ⅲ 第2版 2013
- 日本小児血液学会雑誌 1994; 8: 389-97
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会