診断方法
Ⅰ.主症状
機能を発揮できるプロトロンビンの量によって症状は異なり,一般に50%のプロトロンビンが存在する場合には出血症状を呈さないことが多い。プロトロンビンの量が少なくなると,容易に鼻出血,紫斑,月経過多,産後出血,手術や外傷後の出血をきたす。プロトロンビンの極めて少量の症例においては頭蓋内出血の報告例がある。通常,関節内出血をきたすことはないが,報告はある。出血症状はアスピリンの内服により助長される。
II. 検査所見
- プロトロンビン時間,活性化部分トロンボプラスチン時間延長,トロンビン時間正常によりスクリーニングを行う。 ※ ただし,本スクリーニング検査により第V因子及び第X因子欠乏症との鑑別は困難である。
- プロトロンビン活性及び免疫学的検査により確定診断する。
- 正常プロトロンビン 250 - 350 NIH 単位/mL
- プロトロンビン欠乏症では,プロトロンビン活性及び抗原は正常の2-25%に低下する。
- プロトロンビン異常症では,プロトロンビン活性は低下を示すが,抗原量はほぼ正常である。
- 複合ヘテロの患者においては,抗原量は正常の50%に達する。
- 他の凝固因子活性値は一般に正常であるが,第VII因子の軽度低下を呈する場合がある。
III. 鑑別診断
ビタミンK欠乏症との鑑別が重要である。ビタミンK欠乏は新生児期の出血や吸収障害,クマディンやブロディファクム(殺鼠剤)を含むワルファリン中毒によって引き起こされる。また,N-メチルチオテトラゾール側鎖を含むセファロスポリンによって,プロトロンビンを含むビタミンK依存性タンパク質の合成障害をきたすことがある。 その他,肝疾患にともなうプロトロンビン低下や抗プロトロンビン抗体を鑑別する必要がある。
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会