診断方法
I 主症候
- 二次性徴の欠如
- 思春期遅発症および/または二次性徴の進行不全
- 思春期遅発症では、思春期徴候の発来を、以下の年齢までに認めない。 男子:15歳に至るまでに二次性徴の発来(外性器の発育;精巣容量の4ml以上への発育、陰茎の成長)を認めない。
- 二次性徴を認めても、充分成熟するまで進行しない。
- 思春期年齢における骨年齢進行の遅滞、骨端線閉鎖遅延。
- 思春期年齢における成長加速を認めない。
女子:14歳に至るまでに二次性徴の発来(乳房腫大)を認めない。
II 副症候
無嗅症・低嗅症、腎奇形(片側無形成腎)・口唇口蓋裂・鏡像運動・難聴などを伴う。
III 検査所見
- 血中ゴナドトロピン値の基礎値・LHRH負荷に対する反応低値と、性ホルモン低値を同時に認める。(註 1)
- カルマン症候群の原因遺伝子として既知の遺伝子に、疾患の病因となる変異を認める。
診断基準
- カルマン症候群:主症候の1)または2)を認め、副症候のいずれかおよびIIIの1)を認める。さらにIIIの2)をみとめれば病因が確定する。
- カルマン症候群以外の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症:主症候の1)または2)を認め、IIIの1)を認めたもののなかから、カルマン症候群、体質性思春期遅発症を除外する。(註 2)
註 1) 血中ゴナドトロピン(LH・FSH値)の思春期年齢での基準値は、各施設の標準値を用いる。施設標準値の設定がない場合は、表の値を用いる。
註 2)
体質性思春期遅発症(思春期の発来が遅れるが、後に二次性徴の発来と進行・完全な成熟を認める)との鑑別は、思春期年齢では困難である。以下を参考にするが、絶対的な鑑別の要件ではない。
- 体質性思春期遅発症では、低身長を伴い、小児期から骨年齢が遅延することが多い。
- 体質性思春期遅発症では、副腎の成熟も遅滞し、DHEA-Sの上昇も遅れることが多い。
当該事業における対象基準
治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児内分泌学会