診断方法
臨床症状
主症状
- 外性器異常
- 女児における陰核肥大、陰唇の癒合などの外陰部の男性化。
- 男児における小陰茎、尿道下裂、停留精巣などの不完全な男性化。
- 骨症状(註 1)
- 頭蓋骨癒合症、顔面低形成、大腿骨の彎曲。関節拘縮、くも状指。
副症状
- 二次性徴の欠如、原発性無月経
- 母体の妊娠中期からの男性化と児出生後の改善
- 副腎不全
検査所見
血清17-OHPの高値(註 2)
参考検査所見
- ACTH負荷試験:CYP21とCYP17酵素活性の複合欠損の生化学診断(註 3)
- ACTH負荷試験後のプロゲステロン、17-OH pregnenolone、17-OH progesterone、deoxycorticosterone、corticosteroneの上昇 。
- dehydroepiandrosterone (DHEA)、androstenedione(Δ4A)の上昇は認めない。
- 尿中ステロイドプロフィルによるCYP21とCYP17酵素活性の複合欠損の生化学診断(註 4)。新生児期~乳児期早期:尿中Pregnanetriolone (Ptl) 高値、および11-hydroxyandorosterone(11-OHAn)/Pregnanediol (PD)低値。乳児期後期以降:pregnenolone・progesterone・DOC・corticosterone・17OHP・21-deoxycortisol代謝物高値。
- 特徴的骨レントゲン所見 (橈骨上腕骨癒合症、大腿骨彎曲など)
遺伝子診断
POR遺伝子の異常
除外項目
- 21-水酸化酵素欠損症
- 17α-水酸化酵素欠損症
- 3β水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症
- アロマターゼ欠損症
- (註1)
- まれに骨奇形が軽度、あるいは認めない症例が存在する。その場合は内分泌検査や遺伝子診断を行い診断する。
- (註2)
- 新生児期においては正常上限付近のことが多い。
- (註3)
- CYP21とCYP17活性の低下を証明する必要がある。いくつかの検査項目は保険収載されていないが、一部の民間検査機関で測定可能である。ただし生後6ヶ月までは、免役化学的測定-直接法による血中ステロイドホルモン測定は胎生皮質ステロイドの影響を受け、生化学診断は必ずしも有用ではない。
- (註4)
- 国内ではガスクロマトグラフ質量分析?選択的イオンモニタリング法による尿ステロイドプロフィル(保険未収載)が可能であり、診断に有用である。
診断基準
除外項目を除外した上で、
- 主症状をすべて認め、血清17-OHPが上昇している場合は診断可能。
- 骨症状および特徴的骨レントゲン所見を認めない場合は検査所見、参考所見を検討し診断する。
- グルココルチコイドの補充方法、量については各症例によって異なる。突然死の報告もあるので、ストレス時のグルココルチコイドの補充について症例毎に必要性を検討すべきである。
当該事業における対象基準
治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児内分泌学会