診断方法
臨床症状
- 副腎不全症状
- 哺乳力低下、体重増加不良、嘔吐、脱水、意識障害、ショックなど。
- 皮膚色素沈着
- 全身のび慢性の色素沈着。
- 口腔粘膜、口唇、乳輪、臍、外陰部に強い色素沈着。
- 外性器所見(註 1)
- ほぼ全例女性型外性器。
参考検査所見
- 画像検索による副腎皮質の腫大(註 2)
- 血漿ACTH高値
- PRA高値
- 尿中ステロイドプロフィルにおいて、ステロイド代謝物の全般的低下。特に新生児期の胎生皮質ステロイド異常低値(註 3)
- 低Na血症、高K血症
遺伝子診断
- Steroidogenic acute regulatory protein(StAR)遺伝子の異常(90%以上の症例で同定される)
- コレステロール側鎖切断酵素(P450scc)遺伝子(CYP11A)の異常
除外項目
- 先天性副腎低形成症
- ACTH不応症
- 21-水酸化酵素欠損症
- 3β水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症
- (註1)
- 本症では殆どが外性器は女性型であるが、一部外性器の軽度の男性化を示す46, XY女性例(StAR異常、P450scc異常)、外性器が完全な男性型を示す46, XY男子例(StAR異常症)が存在する。
- (註2)
- 先天性リポイド過形成症(とくにP450scc異常)でも副腎の腫大を認めない場合があり、その場合先天性副腎低形成との鑑別は難しい。特に治療開始後に副腎の腫大を認めない際に、本症を否定することはできない。遺伝子診断を参考に診断する。
- (註3)
- 国内ではガスクロマトグラフ質量分析ー選択的イオンモニタリング法による尿ステロイドプロフィル(保険未収載)が可能であり、診断に有用である。(ただし本検査のみで先天性リポイド過形成症と先天性副腎低形成症との鑑別は不可)。
診断基準
除外項目を除外した上で、
- 3つの臨床症状、副腎の腫大を認めた場合は、診断可能。特に副腎CTにおけるfat densityを伴う副腎腫大は診断的価値が高い。
- 註1、註2にあるように非典型例では臨床症状、各種検査所見を組み合わせて診断を行う。但し副腎不全をきたしているときは治療が優先される。ステロイド補充は各種内分泌検査、染色体検査の結果を待たずに行う。症状が落ち着いてから、各種検査結果を総合して診断を確定する。必要であれば遺伝子診断を行う。
当該事業における対象基準
治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児内分泌学会