診断方法
1979年以降、日本で生まれた全ての新生児は、日齢 4~6 に採取された乾燥ろ紙血液中の TSH を測定し、各自治体の定める基準値に従って、再検査や要精密検査の判定が行われる(新生児マススクリーニング)。
ろ紙血中 THS は、東京都および神奈川県では血清値表示されているが、それ以外の道府県・指定都市では、全血値表示となっている(血清値 = 全血値 × 1.6)。
直ちに精密検査とする TSH値は、自治体の半数以上が 30 mIU/L(全血値)であるが、
最も低い千葉県の 15 mIU/L から開始当初のままの 50 mIU/L まで様々である。
要再採血とする TSH カットオフ値も、過半数は 10 mIU/L が過半数であるが、7.5 ~ 12 mIU/Lと幅がある。
永続性の原発性甲状腺機能低下症の中で、下記の病因があげられる。
1.甲状腺形成異常のうち低形成、片葉欠損
2.甲状腺ホルモン合成障害
3.機能喪失型TSH受容体遺伝子変異
診断は先天性甲状腺機能低下症の新生児マススクリーニングにおいて、乾燥ろ紙血中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)高値を主訴として行われるのが大部分である。新生児マススクリーニング未受検例や偽陰性例は、下記に示す臨床所見により乳幼児期に発見されるが、その場合は、後天性甲状腺機能低下症と鑑別できない場合もある。
原発性甲状腺機能低下症
A. 臨床所見
無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、便秘、嗄声等いずれかの症状
B. 検査所見
遊離T4低値およびTSH高値
診断A. および B.を有するもの。
異所性甲状腺、無甲状腺症、TSH分泌低下症以外の下記の原因が考えられる。
その他の先天性甲状腺機能低下症の原因
- 甲状腺形成異常のうち低形成、片葉欠損
- 甲状腺ホルモン合成障害
- 機能喪失型TSH受容体遺伝子変異
上記甲状腺機能低下症の診断に加え、
1.甲状腺形成異常のうち低形成、片葉欠損
新生児、乳児期であれば甲状腺超音波検査、一般に3歳以降に行われる病型診断の場合は、99mTc (テクネシウム)または放射性ヨード(123I)甲状腺シンチグラムにより、甲状腺の低形成あるいは片葉欠損を診断する。
当該事業における対象基準
治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年8月14日
- 文責
- :日本小児内分泌学会