診断方法
中枢神経疾患を有する者で低Na血症を来した場合、常に鑑別診断としてCSWを考える。
診断項目
- 血中Na の低下 血中Na < 135 mEq/L かつ 血漿浸透圧が低下
- 尿中Na 高値 尿中Na >40 mEq/L かつ 尿浸透圧 >100 mOsmol/kg
- Na摂取と排泄のバランスがマイナスとなっている。
- 脱水所見:皮膚ツルゴールの低下、体重減少、低血圧、ヘマトクリットの上昇、BUN/Crの上昇など。
以上の 1~3 の 3項目を満たす。4が確認されれば確定診断できるが、脱水が明らかでない例も認めるので注意する。
補助的診断項目
- 血中尿酸値の低下と尿酸の尿中排泄亢進
- 脱水の改善により希釈尿の排泄を見、血中Na値が改善する。
- 血中Kの上昇を認めない。
除外診断
以下の低 Na 血症を除外する
- 腎疾患,副腎疾患など低Na血症を来す明らかな他の病因のあるもの
- SIADH:病態は類似しているが、治療が全く異なるので鑑別は重要である。以下を参考にする。細胞外液量の項目以外はCSWとSIADHに共通であるが、病因が異なることに注意する。
【注意点】
脳器質性疾患では、CSWとSIADHが併存することがある。治療反応性を注意深く観察する必要がある。
参考文献
- Ganong CA et al. Am J Dis Child 1993; 147:167.
- Jimenez R et al. Pediatr Neurol 2006; 35:261.
- Maesaka JK et al. Kidney Int 2009; 76:934.
- Singh S et al. Crit Care Med 2002; 30:2575.
- Palmer BF “Cerebral salt wasting” UpToDate
- Somers MJ and Traum AZ “Hyponatremia in children” UpToDate
当該事業における対象基準
治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年2月19日
- 文責
- :日本小児内分泌学会