診断方法
I.主症候
- 口渇および多飲
- 多尿
II.検査所見
- 尿量は1日3,000ml以上(小児においては,1日3,000ml/㎡以上)
- 尿浸透圧300mOsm/kg以下(または尿比重1.010以下)
- 濃縮力以外の腎機能正常
- 下垂体後葉機能検査 1)バソプレシン試験で尿浸透圧は,300mOsm/kg以上(または尿比重1.010以上)に上昇しない。
2)水制限試験で尿浸透圧は,300mOsm/kg以上(または尿比重1.010以上)に上昇しない。
確定検査所見
a)高張食塩水試験により,尿浸透圧は300mOsm/kg以上(または尿比重1.010以上)に上昇しない
b)血中バソプレシン値は正常または増加
III.除外規定
高カルシウム血症,低カリウム血症,慢性腎炎,慢性腎盂腎炎を除外できる
診断の基準
- 確実例
- Ⅰ 及び Ⅱ の各事項と除外基準を満たすもの
- 疑い例
- Ⅰ 及び Ⅱの1~3を満たすが,IIの4の1),2)の検査において尿浸透圧が300~450mOsm/kg(または尿比重1.010~1.015)にあるもの
遺伝的負荷が認められることが多い
[註]新生児期,乳児期で多飲,多尿症状が発症する以前の例では,主症状,所見はI’,II’のようになる
Ⅰ'.主症状
原因不明の発熱(しばしば吐乳,哺乳力微弱,便秘を伴う)
Ⅱ'.検査所見
- 高ナトリウム血症,高浸透圧血症が存在する
- 1の所見は①クロロチアジド系利尿薬を連日(3~7日間)投与すること,②哺乳を希釈乳,低Na乳に変換すること,あるいは,③水の強制投与を行うこと,の一つないしは全部の処置により正常化し,主症状も消失する
- 2の処置により高ナトリウム・高浸透圧血症の消失した時期には検査所見II-2,3,4-1),2)を示す
当該事業における対象基準
治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児内分泌学会