診断方法
診断基準
- 血清または血漿中ナトリウムが、標準値(150mEq/l)より持続して高値である。
- 高ナトリウム血症が存在するにもかかわらず、口渇感がない。(註1)
- 他に高ナトリウム血症を来す明らかな原因がない。(註2)
参考所見
- 基本的に脱水の所見はない。(註3)
- 脳内器質性病変が存在することが多い。(註4)
- 原因の明らかでない低ナトリウム血症を来すこともある。
診断確実例
1〜 3を満たす。
- 註1
- 乳児、発達遅滞を有する児では、口渇を訴えられないことがある。口渇を訴えなくても、与えれば水分を大量に摂取する場合は、口渇感があると考えられる。
- 註2
- 小児期に高ナトリウム血症を来す疾患として、以下を除外する。
- 註3
- 頭蓋内病変のある例では、本態性高ナトリウム血症と中枢性尿崩症などを併発していることがあるため、脱水所見を示すこともある。併発症の治療を行っても高ナトリウム血症が改善されない場合は、これを疑う。
- 註4
- 正中奇形(全前脳胞症など)・視床下部下垂体病変を伴い渇感が喪失している場合は、単純に渇感を喪失しているための水分摂取不足による高ナトリウム血症と、水分摂取がなされても起こる高ナトリウム血症がある。前者は広義の、後者は狭義の「本態性高ナトリウム血症」となる。
当該事業における対象基準
治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児内分泌学会