診断の手引き

  1. 内分泌疾患
  2. 大分類: 下垂体性巨人症
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下垂体性巨人症

かすいたいせいきょじんしょう

Pituitary gigantism

告示

番号:6

疾病名:下垂体性巨人症

診断方法

I 主症候

1) 著明な身長の増加
発育期にあっては身長の増加が著明で、最終身長は男子185cm 以上、女子175cm 以上であるか、そうなると予測されるもの(註1)
2) 先端巨大
発育期には必ずしも顕著ではない。

II 検査所見

  1. 成長ホルモン(GH)分泌の過剰
    血中GH値がブドウ糖75g経口投与で正常域まで抑制されない(註2)
  2. 血中IGF-1 (ソマトメジンC)の高値(註3)
  3. MRIまたはCTで下垂体腺腫の所見を認める(註4)
 

III 副症候

  1. 発汗過多
  2. 頭痛
  3. 視野障害
  4. 女性における月経異常
  5. 睡眠時無呼吸症候群
  6. 耐糖能異常
  7. 高血圧
  8. 咬合不全
  9. 頭蓋骨および手足の単純X線の異常(註5)

IV 除外規定

脳性巨人症ほか他の原因による高身長例を除く。

(註1)
2年以上にわたって年間成長速度が標準値の2.0SD 以上。なお両親の身長、時代による平均値も参考とする。
(註2)
正常域とは血中GH底値1 μg/L(リコンビナントGHを標準品とするGH測定法)未満である。
(註3)
健常者の年齢・性別基準値を参照する。栄養障害、肝疾患、腎疾患、甲状腺機能低下症、コントロール不良の糖尿病などが合併すると血中IGF-Iが高値を示さないことがある。
(註4)
明らかな下垂体腺腫所見を認めない時や、ごく稀にGHRH産生腫瘍の場合がある。
(註5)
頭蓋骨単純X線でトルコ鞍の拡大および破壊、副鼻腔の拡大、外後頭隆起の突出、下顎角の開大と下顎の突出など、手X線で手指末節骨の花キャベツ様肥大変形、X線で足底部軟部組織厚heel padの増大=22mm以上を認める。

診断の基準

確実例:IおよびIIをみたすもの
但し、いずれの場合もIV(除外規定)をみたす必要がある。

当該事業における対象基準

治療で補充療法、機能抑制療法その他薬物療法のいずれか1つ以上を行っている場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児内分泌学会