診断方法
【臨床所見】
肺静脈うっ血による肺水腫、肺高血圧をきたし、体重増加不良、頻回の呼吸器感染症といった症状を呈する。進行すると心拍出量低下、浮腫などの右心不全症状が現れる。
【胸部X線】
左房拡大(気管分岐角度の開大、側面像で左房陰影の後方への突出)、肺動脈拡大、右室拡大および肺静脈うっ血像を認める。
【心電図】
左房負荷所見(Ⅱ誘導における幅広のノッチのあるP波、V1誘導におけるP波終末部の突出した陰性波)を呈する。
肺高血圧を反映し右室、右房負荷を認める。
QRS軸は右軸を呈する。
【心エコー図】
僧帽弁の開放は不良で、左房拡大を認める。肺高血圧を反映して右室圧の上昇を認める。
ドプラエコーで左室流入波形のE波deceleration time は延長する。
連続波ドプラを用いて弁口面積の算出が可能である。
【心臓カテーテル・造影所見】
左房圧、肺動脈楔入圧、肺動脈圧は上昇する。左室圧と左房圧(または肺動脈楔入圧)の同時計測により弁口面積が算出可能である。肺水腫が強い場合には動脈血酸素飽和度の低下及び二酸化炭素分圧の上昇を認める。
【診断】
心エコーで形態診断および重症度評価が可能である。
治療方針の決定のために心臓カテーテルを行うことがある。
■鑑 別
総肺静脈還流異常、肺静脈狭窄、三心房心。
当該事業における対象基準
治療中又は次の①から⑨のいずれかが認められる場合
①肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
②肺動脈狭窄症(右室-肺動脈圧較差20mmHg以上)
③2度以上の房室弁逆流
④2度以上の半月弁逆流
⑤圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
⑥心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
⑦左室駆出率あるいは体心室駆出率0.6以下
⑧心胸郭比 60%以上
⑨圧較差20mmHg以上の大動脈再狭窄
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年8月26日
- 文責
- :日本小児循環器学会