診断方法
左肺動脈が右肺動脈から起始し、その間に右気管支および気管下部を、食道を巻き込み、特に気管の圧迫による呼吸器症状は致命的となる場合もある。
【臨床所見】
約90%の症例で出生直後から吸気性喘鳴、呼吸困難などの気管狭窄の症状が出現する。気管狭窄が重篤であれば窒息、呼吸促迫、チアノーゼなどの症状が出現し、意識消失や突然死の原因にもなる。呼吸困難は気道感染や体位の変換等により発作性に出現することもある。
左肺動脈の圧迫とは別に、約50%に気管と気管支に狭窄を合併する。
また、約50%の患者に心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症、左上大静脈残遺、Fallot四徴症、完全大血管転移症などの先天性心疾患を合併
胸部聴診にて吸気性のwheezesを聴取する。呼吸困難状態になると呼気・吸気両相にwheezesを聴取することもある。
気管・気管支の狭窄の度合いによってはcheck valveとなり肺の過膨張による胸郭の膨隆が認められる。
【胸部X線】
胸部X線正面像で気管下部は左側に偏位する。気管・気管支の狭窄像が認められる場合がある。右気管支の圧迫が多く、check vakveとなり右肺は肺気腫のため過膨張像を呈する。さらに病変が進行し閉塞すればstop valveとなり無気肺像を呈する。
【心エコー図】
・主肺動脈から右肺動脈につながり、正常の位置に左肺動脈が描出されない。
・右肺動脈をスキャンしていくと右肺動脈から左肺動脈が分岐する像が描出される。
【心臓カテーテル・造影所見】
・頭側に角度をつけた正面像にて肺動脈造影を施行し、右肺動脈から分岐する左肺動脈が描出される
・気管・気管支の狭窄性病変を放射線透視により評価できる場合がある。
【その他の画像診断】
MD-CTおよびMRIによる検査にても診断可能となる。
■診 断
心エコー、CT、心臓カテーテル検査。
新生児早期からの吸気性喘鳴、呼吸困難を見た場合には本症を疑う。
心エコーにて、左肺動脈の位置異常および右肺動脈からの分岐を確認する。
心カテ時の肺動脈造影、MD-CT、MRIなどにより診断が確定する。
可能であれば気管支鏡にて気管・気管支の狭窄内部を評価する。
■鑑 別
血管輪
当該事業における対象基準
治療中又は次の①から⑨のいずれかが認められる場合
①肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
②肺動脈狭窄症(右室-肺動脈圧較差20mmHg以上)
③2度以上の房室弁逆流
④2度以上の半月弁逆流
⑤圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
⑥心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
⑦左室駆出率あるいは体心室駆出率0.6以下
⑧心胸郭比 60%以上
⑨圧較差20mmHg以上の大動脈再狭窄
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児循環器学会