診断方法
■臨床所見
臨床像は、合併奇形(心室中隔欠損、肺動脈狭窄や肺動脈閉鎖など)の組み合わせにより様々である。大きな心室中隔欠損では、乳児期から肺高血圧と心不全を呈する。肺動脈狭窄や肺動脈閉鎖の合併で、チアノーゼを呈する。
刺激伝導系の異常により、房室ブロックとなることが多い。
理学所見として二音は亢進し、三尖弁閉鎖不全による胸骨左縁第4肋間の汎収縮期雑音を認める。
【胸部X線所見】
心陰影の左側は左前方に位置する上行大動脈が形成するため、なだらかである。
肺血管陰影は合併奇形により、減少・正常・増加など様々である。
【心電図】
合併奇形が無い場合には左軸偏位と右側胸部誘導でのq波が特徴的である。心室中隔欠損や肺動脈狭窄合併例では、正常または右軸偏位を呈する。
房室ブロックの合併を多数認める。
【心エコー図】
左右の心房位が正常で、解剖学的左室と解剖学的右室が左右逆転している。それにより大動脈は解剖学的右室から、肺動脈の左前方から起始する。大血管の短軸断面では、大動脈-肺動脈の位置関係は左前-右後になる。また大動脈と肺動脈は並行している。
心室中隔欠損、肺動脈弁狭窄や肺動脈閉鎖合併の症例がある。
体心室である右室が機能不全になると、三尖弁逆流を認める。
【心臓カテーテル・造影所見】
右心房から挿入した心室造影では、解剖学的左室構造を認め、この心室から肺動脈が後上方へ起始する。一方、前方に位置する大動脈から挿入した心室造影では、解剖学的右室構造を認める。
合併奇形としての、心室中隔欠損や肺動脈弁狭窄所見を認める。
右室造影で三尖弁逆流を認める。
【診断】心エコー、心臓カテーテル検査
当該事業における対象基準
治療中又は次の①から⑨のいずれかが認められる場合
①肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
②肺動脈狭窄症(右室-肺動脈圧較差20mmHg以上)
③2度以上の房室弁逆流
④2度以上の半月弁逆流
⑤圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
⑥心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
⑦左室駆出率あるいは体心室駆出率0.6以下
⑧心胸郭比 60%以上
⑨圧較差20mmHg以上の大動脈再狭窄
最終手術不能のためチアノーゼがあり、死に至る可能性を減らすための濃厚なケア、治療及び経過観察が必要な場合
以上の何れかを満たす場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児循環器学会