診断の手引き

  1. 慢性心疾患
  2. 大分類: 肥大型心筋症
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肥大型心筋症

ひだいがたしんきんしょう

Hypertrophic cardiomyopathy

告示

番号:88

疾病名:肥大型心筋症

診断方法

【症状】
易疲労、呼吸困難、胸痛など。無症状のこともある。

【胸部X線所見】
胸部X線で軽度心拡大を認める。

【心電図所見】
左室肥大を認めることがある。異常Q波、左側胸部誘導巨大陰性T波などを認めることがある。

【心エコー所見】
心室壁の肥厚、特に心室中隔の肥厚が著明である。心室中隔の厚さ/後壁厚の比が1.3以上を非対称性肥大と呼び、本症の典型的な所見のひとつである。左室の拡張障害の所見を認める。左室流出路狭窄があれば、流速の亢進を認める。僧帽弁閉鎖不全を認めることがある。年少児では右室流出路狭窄を認めることもある。

【心臓カテーテル、心筋生検】
左室、心室中隔の肥厚を認め、左室の拡大はなく、心室収縮能は正常ないし亢進している。左室拡張末期圧の上昇を認める。左室内に狭窄があれば、引き抜き圧で、左室内に圧差を認める。心筋生検では、心筋の錯綜配列、心筋細胞肥大を認める。

【遺伝子異常】
細胞骨格や筋原線維を構成するタンパクの遺伝子変異で、本症が発生することがある。

【予後】
難治性で予後不良の疾患である。特に乳児期発症例は予後は不良である。

【診断】
心エコー、心臓カテーテル、心筋生検で確定診断する。

当該事業における対象基準

疾患名に該当する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児循環器学会