診断の手引き

  1. 慢性呼吸器疾患
  2. 大分類: 間質性肺疾患
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先天性肺胞蛋白症(遺伝子異常が原因の間質性肺疾患を含む。)

せんてんせいはいほうたんぱくしょう (いでんしいじょうがげんいんのかんしつせいはいしっかんをふくむ。)

Congenital alveolar proteinosis

告示

番号:1

疾病名:先天性肺胞蛋白症(遺伝子異常が原因の間質性肺疾患を含む。)

診断方法

A.主要臨床症状

  1. 正常な動脈血酸素飽和度を維持するために酸素投与を必要とする酸素化障害が
    室内空気で低酸素血症を呈していれば、酸素投与は必須ではない
  2. 胸部CT像にびまん性の間質性陰影を認める
    重症で胸部CT撮像が困難な場合は、責任遺伝子の変異が同定されれば、胸部X線像の間質性陰影で代用する
  3. 原因として遺伝子変異の存在が想定される
    責任遺伝子の変異が同定されているか、家族歴や発症様式から発症機転における遺伝要因の関与が強く疑われる
  4. 既知の疾患を除外する
    感染症、先天性心疾患、染色体異常を含む奇形症候群、呼吸器の形態異常、骨系統疾患、神経筋疾患、重症新生児仮死による新生児遷延性肺高血圧症、早産や子宮内炎症に起因する慢性肺疾患などの既知の疾患・病態によって酸素化障害が説明できる場合は除外するが、酸素化障害の原因とならない先天異常があっても除外しない

B.他の重要な臨床所見および検査所見

  1. 先天性肺胞蛋白症
  2. 肺生検で肺胞腔内にPAS染色陽性の蛋白様物質の充満を認めるか、乳白色でPAS染色
    陽性の気管支肺胞洗浄を認める。 SP-B SP−C ABCA3 GMCSF-R あるいは GATA2 遺伝子に病態を説明可能な変異が同定されるか、肺胞マクロファージの形態異常を認める
  3. 原因として遺伝子変異が想定される間質性肺炎
  4. 肺生検で間質性肺炎に一致する所見を認めるか、ABCA3 あるいはSPC 遺伝子に病態を説明可能な変異を認める
  5. ACD/MPV(Alveolar capillary dysplasia with misalignment of pulmonary veins)
  6. 肺生検でACD/MPVに一致する所見を認めるか、FOXF1遺伝子に病態を説明可能な変異あるいは欠失を認める
  7. 甲状腺機能異常を伴う間質性肺疾患
  8. 甲状腺機能低下を認め、TTF-1遺伝子に病態を説明可能な変異を認める

当該事業における対象基準

疾患名に該当する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本未熟児新生児学会