診断方法
臨床経過および画像検査にて診断する。確定診断には組織学的に腎の異形成を確認する必要があるが、多くは保存的に経過観察されるため一般には行わない。
- 組織所見として、正常なネフロンは認められず、わずかに未分化な上皮細胞や primitive duct が認められる。
- 超音波検査では、①大小さまざまなサイズの囊胞がばらばらに位置する、②もっとも大きな囊胞が中心側にない、③囊胞間での交通が観察されない、④正常な腎実質エコーは通常観察されない、ことで診断できるが、本症と重症水腎症(腎孟尿管移行部狭窄)との鑑別が難しい場合がある。
- 核医学検査では、99mTc-DMSA(腎静態)シンチグラフィにより無機能腎を確認する。対側腎は通常、代償性に核種の摂取率が増大している。水腎症では集積があるものの、本症では集積がないことから区別できることが多い1,2。
- 合併症として、対側の腎尿路異常が約1/3に認められ、なかでも膀胱尿管逆流(VUR)が最も多く、尿路感染症の原因となる。
参考文献
- 金子一成:多囊嚢胞性異形成腎. 腎と透析54:449-453, 2003.
- Ismaili K, Avni FE, Alexander M, Schulman C. Collier F. Hall M. Routine voiding cystourethrography is of no value in neonates with unilateral multicystic dysplastic kidney. J Pediatr. 2005;146:759.
当該事業における対象基準
腎機能の低下(おおむね3か月以上、血清Crが年齢性別ごとの中央値(別表参照)の1.5倍以上持続)がみられる場合又は腎移植を行った場合
表. 年齢・性別毎の血清クレアチニンの中央値および腎機能低下基準値



- ※
- 腎機能低下基準値は、中央値の1.5倍値。12歳以上は男女別となっている。
- ※
- 17歳以上も近年の標準測定法である"酵素法"での正常値(男:0.83、女性:0.63(Jaffe法だと1.03、0.83 相当))を用いて1.5倍として計算。
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年5月23日
- 文責
- :日本小児腎臓病学会