診断の手引き

  1. 慢性腎疾患
  2. 大分類: ネフローゼ症候群
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巣状分節性糸球体硬化症

そうじょうぶんせつせいしきゅうたいこうかしょう

Focal segmental glomerulosclerosis; FSGS

告示

番号:23

疾病名:巣状分節性糸球体硬化症

診断方法

FSGS の診断は、ステロイド抵抗性や腎機能障害など微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)としては非典型的な臨床症状で疑い、腎生検で確定診断する(腎生検の適応については「大分類1:ネフローゼ症候群」を参照)。

診断に際しての留意点

  • 巣状分節性糸球体硬化症 (FSGS)は、ネフローゼ症候群を呈さず、高度蛋白尿が長期に持続することもある。
  • 腎生検に際して、病変糸球体は皮髄境界部にみられることが多く、一方、非硬化部糸球体は光顕上ほとんど変化が認められないことから、採取された腎組織が皮質浅層のみの場合にはMCNSとの鑑別が困難な場合がある。また、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群では、病勢により経時的に組織所見が変わることがある。
  • 初回腎生検で微小変化型やびまん性メサンギウム増殖であっても、治療に反応せずネフローゼ状態が持続し、FSGS に移行する場合がある。また、組織所見と予後が合致しないことも多い。

形態学的分類として、コロンビア分類 (表1) が知られている。

 

表1. 巣状分節性糸球体硬化症 (FSGS) の病理分類(コロンビア分類)

表1. 巣状分節性糸球体硬化症 (FSGS) の病理分類(コロンビア分類)

「大分類1:ネフローゼ症候群」の診断方法

「大分類1:ネフローゼ症候群」の診断方法

当該事業における対象基準

病理診断で診断が確定し、治療でステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、抗凝固薬、抗血小板薬、アルブミン製剤若しくは降圧薬のうち一つ以上を用いる場合又は腎移植を行った場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年5月23日
文責
:日本小児腎臓病学会