診断の手引き

  1. 悪性新生物
  2. 大分類: 中枢神経系腫瘍
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頭蓋内胚細胞腫瘍

ずがいないはいさいぼうしゅよう

Intracranial germ cell tumour

告示

番号:61

疾病名:頭蓋内胚細胞腫瘍

診断方法

症状

好発部位は松果体部、トルコ鞍上部、脳室周囲、基底核部、視床である。松果体部に発生すれば、上丘障害による眼球運動障害、中脳水道狭窄による水頭症をきたしやすい。神経下垂体部腫瘍では、下垂体前葉および後葉の障害によるホルモン分泌障害による症状、視覚障害をきたしやすい。基底核部腫瘍では、内包障害による片麻痺を呈しやすい。いずれの部位でも腫瘍の増大や水頭症の合併により頭蓋内圧亢進症状を呈する。

検査

  1. 血液や髄液検査で、卵黄嚢腫瘍ではαフェトプロテイン、絨毛癌では絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin: HCG)がそれぞれ上昇する。両者が上昇する場合は、この2つの腫瘍が混在した混合性胚細胞腫瘍と診断する。
  2. 画像検査では、腫瘍の局在を診断するのには有効で、画像所見では腫瘍としての特徴を持ち、石灰化を伴い易い。画像診断では胚細胞腫瘍の中の組織型の診断は難しい。
  3. 病理組織学的診断では、それぞれの腫瘍の定義に従い診断する。

診断

腫瘍は組織の不均一性があるため、原則として、病理組織学的検査に加え、腫瘍マーカーの上昇の有無を考慮して診断する。生検が困難などの理由で行わない場合は、症状、画像診断および腫瘍マーカーの上昇の有無で診断する場合がある。

当該事業における対象基準

頭蓋内及び脊柱管内が原発であり、脳(脊髄)腫瘍であることを確認した場合。病理診断が困難である場合であっても対象とする。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会、日本小児神経外科学会