診断方法
主症状
発生部位に応じた症状を呈するが、多くは腫瘤触知やその圧迫症状、または腫瘍破裂による症状などである。具体的には腹部腫瘤や膨隆、精巣腫大、仙尾部腫瘤、腹痛、疝痛、縦隔腫瘤の場合は気道圧迫症状、卵巣腫瘍の場合は茎捻転による症状もある。
検査所見
- 1. 画像診断 特異的な所見はないが、単一の組織型であれば均質な充実性腫瘍の像を呈することが多い。遠隔転移をきたすこともある。
- 2. 肉眼所見 肉眼的には通常大きな充実性の腫瘤である。割面は海綿状あるいは微細嚢胞状で軟らかく、赤褐色状で出血を伴うこともある。
- 3. 病理組織所見 典型的な類胎芽体は、羊膜嚢胞amnion vesicle、卵黄嚢yolk sac vesicle、胎児外間葉組織extraembryonic mesenchymeと栄養膜細胞からなり、受精後13~18日のヒト胎児に似た構造を示す。連続切片による詳細な検索によりこの構造の羊膜嚢胞が消化管に、また卵黄嚢が肝臓・消化管に分化することが示された。内胚葉への分化を主体とする成熟あるいは未熟な奇形腫成分も共存する場合が多い。卵黄嚢上皮の一部と肝細胞にAFPが陽性である。また、合胞体性栄養膜細胞が散在することがあり、同部ではhCGが証明される。
その他の徴候
診断
原則として、病理組織学的検査により診断する。
参考文献
- 卵巣腫瘍病理アトラス, 文光堂 2010
- Nakashima,N., Murakami S., Fukatsu T. : Characteristics of “embryoid body” in human gonadal germ cell tumors. Hum Pathol 1988, 19: 1144-1154
- 新訂版 小児腫瘍組織分類図譜 第5編, 金原出版 1999
- 新小児がんの診断と治療 別所文雄他 診断と治療社
当該事業における対象基準
組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会