診断方法
I. 主症状
発生部位に応じた症状を呈するが、多くは腫瘤触知やその圧迫症状、または腫瘍破裂による症状などである。具体的には腹部腫瘤や膨隆、精巣腫大、仙尾部腫瘤、腹痛、疝痛、縦隔腫瘤の場合は気道圧迫症状、卵巣腫瘍の場合は茎捻転による症状もある。
II. 検査所見
- 画像診断では、特異的な所見はないが、単一の組織型であれば均質な充実性腫瘍の像を呈することが多い。遠隔転移をきたすこともある。
- 血清β-hCG値が上昇するものが多い
- 肉眼および病理組織学所見 混在する胚細胞腫瘍の成分によって肉眼像は異なるが、純粋型は片側性、表面は平滑な比較的軟らかい腫瘤で、割面は灰白淡黄褐色、出血・壊死を伴うことが多く、嚢胞や空洞もみる。組織学的には胎児期の未熟な上皮様の異型細胞からなり、乳頭状あるいは管状構造をなし、ところによっては充実性の増生を示す。個々の腫瘍細胞は大型高円柱状、細胞境界は不明瞭、核は長楕円形、核小体は明瞭である。核分裂は多い。免疫組織化学的にCD30が陽性、α-フェトプロテイン(AFP)が一部の腫瘍細胞に陽性を示す。多核の合胞体栄養膜細胞syncytiotrophoblast様の腫瘍細胞がしばしば認められ、ヒト絨毛性ゴナドトトピン(hCG)陽性となる。
III. その他の徴候
診断
原則として、病理組織学的検査により診断する。
参考文献
- 卵巣腫瘍病理アトラス, 文光堂 2010
- 新訂版 小児腫瘍組織分類図譜 第5編, 金原出版 1999
- 新小児がんの診断と治療 別所文雄他 診断と治療社
当該事業における対象基準
組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会