診断の手引き

  1. 悪性新生物
  2. 大分類: 固形腫瘍(中枢神経系腫瘍を除く。)
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肝芽腫

かんがしゅ

Hepatoblastoma

告示

番号:9

疾病名:肝芽腫

診断方法

主症状

腹部腫瘤、腹部膨満、腹痛など。ときに不明熱や嘔吐などの消化器症状、稀に腫瘍破裂による急性腹症や出血性ショックを呈することがある。

検査所見

  1. 画像診断では、肝に発生する腫瘍で多くは巨大な腫瘍を呈する。肝静脈から右心房にいたる経路に発育することがある。肺転移を有することもある。
  2. 腫瘍マーカーとしては、血中アルファフェトプロテイン(AFP)の上昇がみられる。ただし腫瘍を認めない満期産児においても出生時には10,000~100,000 ng/mlと高値を示し4~9日の半減期で正常化していくため、注意が必要である。β‐hCG値が上昇することもある。
  3. 病理組織学的検査で、胎生期の幹細胞に類似したさまざまな文化度の上皮性細胞のほかに、いわゆる類骨様組織、紡錐形細胞のほか、軟骨、脂肪組織などの間葉成分が種々な割合で混在する。

その他の徴候

家族性大腸ポリポーシス、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、低出生体重児に好発することが知られている。

診断

原則として、病理組織学的検査により診断する。生検が困難であれば、症状と画像所見、腫瘍マーカーの上昇などから総合的に診断する場合がある。

当該事業における対象基準

組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会