診断方法
国際組織球委員会による国際治療研究 HLH-2004による診断基準は下記である。
項目AまたはBを満たすものを血球貪食性リンパ組織球症と診断する。
- 血球貪食性リンパ組織球症の原因となる遺伝子異常を有する
- 血球貪食性リンパ組織球症の臨床診断基準を満たす(8つの所見のうち5つ)
臨床所見
- 発熱
- 脾腫
検査所見
- 血球減少(末梢血の3系統のうち少なくとも2系統に異常があること)
Hemoglobin<9.0g/dL、Platelets<100,000/μL、Neutrophils<1000/μL - 高トリグリセライド血症(>265 mg/dL)または低フィブリノゲン血症(<150mg/dL)
組織学的所見
- 骨髄、脾臓、またはリンパ節の血球貪食像を認める、悪性所見なし
検査データ所見
- NK細胞活性定値または欠損(正常範囲はそれぞれの検査基準に従う)
- 血清フェリチン値>500ng/mL
- 血清Soluble CD25(Soluble IL-2 receptor)値>2,400U/mL
付記
- 診断基準には含まれないが診断に有用な所見
- 髄液の細胞増多(単核球)および/または髄液蛋白増加
- 肝で慢性持続性肝炎に類似した組織像(生検にて)
- 診断を示唆する他の所見
- 髄膜刺激症状、リンパ節腫大、黄疸、浮腫、皮疹、肝酵素上昇、低蛋白血症、低ナトリウム血症、VLDL値上昇、HDL値低下
- 註1.
- PRF1、MUNC13-4、STX11 の遺伝子異常の確定には日時を要するので、実際上はperforinフローサイトメトリーあるいはMUNC13-4、syntaxin 11 蛋白発現解析で異常がみられれば遺伝子異常ありとみなしてよい。一方上記診断を満たし、NK 活性正常かつ EBV 量が単核球中≧10,000 コピー/μg DNA 以上であれば二次性(EBV-HLH)の可能性が高い。
- 註2.
- 症例によっては発症時にHLH-2004 診断ガイドラインの基準をすべて満たすわけではなく、経過と共に基準のいくつかを満たすことが少なくない。したがって診断基準を満たさない場合は注意深くフォローし、基準を満たした(同時期に症状・所見が揃った)時点で血球貪食性リンパ組織球症の診断をおこなう。
- 註3.
- 原発性の発症は通常乳児期であるが、思春期や若年成人でも報告されている。二次性はすべての年齢で見られる。
参考文献
- Henter, J. I, Horne A, Aricó M, et al. HLH-2004: Diagnostic and therapeutic guidelines for hemophagocytic lymphohistiocytosis. Pediatr Blood Cancer 48: 124-131, 2007
- Henter J-I, Elinder G, Öst Å, and the FHL Study Group of the Histiocyte Society. Diagnostic guidelines for hemophagocytic lymphohistiocytosis. Semin Oncol 18: 29-33, 1991
- Henter J-I, Arico M, Elinder G, Imashuku S, Janka G. Familial hemophagocytic lymphohistiocytosis (primary HLH). Hematol Oncol Clin North Am 12:417-33, 1998.
当該事業における対象基準
組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会