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DDX3X関連神経発達異常症

でぃーでぃーえっくすすりーえっくすかんれんしんけいはったついじょうしょう

DDX3X-related neurodevelopmental disorder

告示

番号:60

疾病名:DDX3X関連神経発達異常症

疾患概念

重度の知的障害、言語発達遅滞、摂食障害、特徴的顔貌を特徴とする先天異常症候群である。DDX3X遺伝子のヘテロ接合性の変異を原因とし、ほとんどの例が女性で、まれに男性にも発症する。言語獲得はほとんどの例で不可能で、ほかに自閉スぺクトラム障害、自傷、けいれん発作、運動異常(ジスキネジアなど)、視覚障害、聴覚障害、先天性心疾患、側弯などの骨格異常などを認める。神経芽細胞腫の発生が複数例で確認されている。DDX3Xは転写制御に関わることから、症状が多臓器にわたると考えられている。症状は、小児期以降も軽快せず、成人期以降も持続する。

疫学

約10-20万出生に1例。

病因

DDX3X遺伝子の病的バリアントを原因とする。病的バリアントは、女性ではヘテロ接合として、男性ではヘミ接合として認める。

臨床症状

重度の知的障害、言語発達遅滞、摂食障害、特徴的顔貌を特徴とする自閉スぺクトラム障害、自傷、けいれん発作、運動異常(ジスキネジアなど)、視覚障害、聴覚障害、先天性心疾患、側弯などの骨格異常などを認める。神経芽細胞腫の発生が複数例で確認されている。ほかに、小頭症、呼吸障害、先天性心疾患、思春期早発、口唇・口蓋裂を合併することもある。自傷や自閉スペクトラム障害、摂食障害、胃食道逆流などを認める。

検査所見

頭部MRIでは、脳梁の低形成ないしは欠損、脳室拡大、多小脳回などを認める。

診断

臨床症状より、DDX3X関連神経発達異常症が疑われ、原因遺伝子のDDX3X遺伝子に病的バリアントを認めれば診断が確定する。変異を認めない場合もあり。乳幼児期から、重度の精神発達遅滞、特徴的顔貌などから診断される場合もある。

診断の際の留意点/鑑別診断

知的障害を伴う他の疾患と鑑別する。

治療

症状に合わせた治療法を選択する。精神発達遅滞に対しては、療育参加を促す。痙攣・てんかんに対しては薬物療法を組み合わせてゆく。誤嚥を繰り返す摂食障害では、経管栄養や胃ろう管理を検討する。

予後

生命予後は、主に合併する気道感染症やてんかんの影響を受ける。

研究班

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「先天異常症候群のライフステージ全体の自然歴と合併症の把握:Reverse phenotypingを包含したアプローチ」

成人期以降の注意点

側彎の進行や気道感染、栄養管理、てんかん発作に注意する。

参考文献

  1. Johnson-Kerner B, Snijders Blok L, Suit L, Thomas J, Kleefstra T, Sherr EH. DDX3X-Related Neurodevelopmental Disorder. In: Adam MP, Ardinger HH, Pagon RA, et al., eds. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; August 27, 2020.
:第1版
更新日
:2021年11月1日
文責
:日本小児遺伝学会
日本小児神経学会