概念・定義
骨形成不全症とは,易骨折性,進行性の骨変形などの骨脆弱性症状に加え,様々な程度の結合組織症状を示す先天性疾患である.
病因
一般的には結合組織の主要な成分であるⅠ型コラーゲンの遺伝子変異(COL1A1,COL1A2)により,質的あるいは量的異常が原因で発症するが,Ⅰ型コラーゲン遺伝子に異常を認めない症例も存在する.近年,それらの遺伝子異常が続々見つかっており,FKBP10, LEPRE1, CRTAP,PPIB, SERPINH1,SERPINF1,BMP1などの異常が報告されている.
疫学
発症頻度は約2万人に1人である.
臨床症状
骨形成不全症の臨床像は非常に多彩であり,生まれてすぐに死亡する致死型から,生涯にわたり明らかな症状がなく偶然発見されるものまである.
Sillenceの分類は現在最も広く使用されている臨床分類で,疾患の重症度をある程度把握することが可能である.古典的にはⅠ型からⅣ型に分類するものであったが,遺伝子異常の同定を加味して現在ではⅨ型に分類され,さらにアップデートされつつある.
臨床症状は易骨折性,骨変形などの長管骨の骨脆弱性と脊椎骨の変形に加え,成長障害,青色強膜,象牙質形成不全,難聴,関節皮膚の過伸展などである.
診断
治療
内科的治療と外科的治療に大きく分けられる.
(1)内科的治療
骨折頻度の減少を目的としてビスフォスフォネート製剤(パミドロネート)の周期的静脈投与が行われる.最初の報告は1998年にGlorieuxらによりなされたもので,骨折頻度の減少のみならず,骨密度の増加,骨痛の改善,脊体の圧迫骨折の改善などの効果も得られている.副作用としては,発熱,感冒様症状,低カルシウム血症,呼吸困難などがあるが,いずれも周期的投与の初回投与時にみられることがほとんどである.治療に関する注意点は,骨折の治癒を遷延する可能性があるため,治療前に骨折がないことを確認すべきでこと,過量投与にならないように注意することなどが重要である.2014年1月現在、パミドロネート治療は保険未収載であるが,公知申請が提出され,正式な薬事承認を待っている段階である.
(2)外科的治療
骨折した際に観血的骨整復術,四肢変形に対して骨切り術,長管骨の骨折変形予防を目的とした髄内釘挿入などが行われる.
予後
前述のとおり臨床像が多彩なため予後も症例によってさまざまである.
参考文献
1) 田中弘之,他:骨形成不全症の診療ガイドライン.日児誌 110: 1468-1471, 2006
2) 長谷川高誠:骨形成不全症.小児科臨床 63: 1097-1104, 2010
3) Glorieux FH, et al: Cyclic administration of pamidronate in children with severe osteogenesis imperfect. N Engl J Med 339: 947-952, 1998
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会