疾患概念
Xia-Gibbs症候群は運動発達遅滞、中等度から重度の知的障害、言語障害、筋緊張低下、脳構造異常、てんかんをきたす症候群である。AHDC1遺伝子の変異もしくは微細欠失を原因とする常染色体顕性遺伝形式の先天異常症候群であり、多くは突然変異により発症する。睡眠時無呼吸や不随意運動、自閉、行動障害、眼科的異常、成長障害などを合併することがある。
疫学
80000出生に1人の割合と推定されており、270人以上が報告されている。
病因
1p36.11領域にあるAHDC1遺伝子のヘテロ接合性の病的バリアントないしは同領域の染色体微細欠失を原因とする。AHDC1遺伝子の機能喪失変異ないしはハプロ不全が原因である。転写産物はDNA結合タンパクであり、転写調節を行っている。
臨床症状
運動発達遅滞、中等度から重度の知的障害、言語障害、筋緊張低下、脳構造異常、てんかんを認める。常染色体顕性遺伝形式の先天異常症候群であり、多くは突然変異により発症する。睡眠時無呼吸などの呼吸障害、不随意運動、自閉、行動障害、眼科的異常、側彎などの骨格異常、成長障害などを合併することがある。
診断
臨床症状の組み合わせから本症を疑い、AHDC1に病的バリアントないしはAHDC1を含む1p36.11の微細欠失を認めれば診断が確定する。
診断の際の留意点
知的障害や多発先天異常をきたす疾患が鑑別となる。
治療
対症療法が中心となる。早期からのリハビリテーションや療育の参加は重要。摂食障害や哺乳障害などには経管栄養も考慮する。また、逆流や誤嚥性肺炎などを繰り返す場合には胃ろう造設も考慮する。てんかんに対しては抗てんかん薬を用いる。無呼吸や換気障害では、呼吸モニターを行う。
予後
合併するてんかんなどの神経症状および無呼吸発作や低換気などの呼吸障害、気道感染などが予後を左右する。
研究班
研究代表者:小崎健次郎
「患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築」(23FC1052)
「患者との双方向的協調に基づく先天異常症候群の自然歴の収集とrecontact可能なシステムの構築」(23FC1052)
成人期以降の注意点
栄養管理や関節拘縮、側弯の進行、てんかん発作の変化、気道感染に注意する。
参考文献
- Chander V, Wangler M, Gibbs R, Murdock D. Xia-Gibbs Syndrome. 2021 Dec 9. In: Adam MP, Mirzaa GM, Pagon RA, Wallace SE, Bean LJH, Gripp KW, Amemiya A, editors. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle.
- 版
- :第1版
- 更新日
- :2025年4月1日
- 文責
- :日本小児遺伝学会