1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 進行性ミオクローヌスてんかん
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ラフォラ(Lafora)病

らふぉらびょう

Lafora disease

告示

番号:30

疾病名:ラフォラ病

概念・定義

ミオクローヌス、てんかん発作、小脳性運動失調、知的障害などを呈する進行性ミオクローヌスてんかん(progressive myoclonic epilepsy:PME)の原因疾患の一つで、常染色体劣性遺伝を示す進行性の神経変性疾患。神経細胞や心筋細胞にperiodic acid Schiff(PAS)染色陽性の凝集体が沈着することから、以前は皮膚や神経生検でラフォラ(Lafora)小体を証明することにより診断されていた。近年、原因遺伝子が同定され一部の専門施設では遺伝子診断が行われている。

疫学

希少疾患だが、国内で疫学調査が行われたことはなく、正確な発生頻度は不明

病因

約90%の患者でEPM2A(タンパク質はlaforin)とEPM2B(タンパク質はmalin)の変異が見出されるが、第3の原因遺伝子の存在も推定されている。

症状

7~18歳頃、てんかん発作(全身強直間代性けいれん、欠神発作、ミオクロニー発作など)で発症する。幻視からなる視覚発作を呈する症例もある。次いで動作性ならびに静止時ミオクローヌスが続発する。ミオクローヌスは光・音・精神的緊張などにより誘発されやすい。さらに知的障害、小脳性運動失調が進行し、数年で寝たきりとなる。視床、淡蒼球、黒質、小脳歯状核の神経細胞、肝細胞、汗腺上皮細胞、心筋、骨格筋にポリグルコサンを主とするPAS染色陽性(アミラーゼ非消化)凝集体が沈着する。神経細胞内の凝集体はLafora小体と呼ばれ神経変性への関与が推定される

治療

根本的な治療法は確立しておらず、PMEに対して抗てんかん薬治療(sodium valproate、benzodiazepineなど)が行われる。Carbamazepine、phenytoinはミオクローヌス、小脳性運動失調を増悪させる可能性があるのでなるべく使用しない

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児神経学会