概念・定義 Introduction
病因 Pathogenesis
核膜蛋白であるエメリン、もしくはA型ラミンの遺伝子変異による遺伝性筋疾患である
臨床症状 Clinical manifestations
発症は通常小児期で、筋力低下は近位筋に強い。筋力低下に先行して関節拘縮が出現することもある。足関節背屈制限、肘・膝関節などの伸展制限を認めるようになる。傍脊柱筋も好んで侵されるので前屈制限をきたし、脊椎強直(rigid spine)の状態を示す場合も多い。本疾患には高頻度に心伝導障害を認め、まずP波の消失、次いでPR間隔の延長、接合部調律、心房細・粗動、房室ブロックなど心房内伝導障害を認める。思春期から20歳代にかけて完全房室ブロックなどに至る場合があり、ペースメーカーや埋め込み型除細動器の装着を必要とする場合があり、定期的ない不整脈のモニタリングが必要である。検査では血清クレアチンキナーゼ(CK)値の軽度~中等度の上昇、針筋電図で多相性電位、早期干渉などの非特異的筋原性変化を認める。筋生検で筋ジストロフィー変化に加えて、エメリン変異による場合にはエメリン蛋白の欠損を免疫染色などで確認する。A型ラミン変異の場合には、遺伝子解析によって確認する。骨格筋の筋力低下は比較的緩徐で場合が多く、生命予後は不整脈による場合が多い
診断 Diagnosis
治療
根本的治療法は現在までのところ見いだされていない。必要に応じて、リハビリテーション、呼吸障害や側弯に対する治療が行われる。筋力低下が比較的軽度である場合が多いので関節拘縮に対して腱延長術が適応となる場合がある。適応があればペースメーカーや埋め込み型除細動器の装着を行う
予後
心伝導障害が予後を左右する。突然死があり得るので、不整脈のモニタリングが重要である
参考文献
林由起子.Emery-Dreifuss型筋ジストロフィー.埜中征哉(監)、小牧宏文(編) 小児筋疾患診療ハンドブック 診断と治療社 120-124, 2009
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児神経学会