概要
病因
EBウイルスの初感染は不顕性に経過するのがほとんどであるが、一部の個体ではIMを発症し、まれにCAEBVへと進展する。CAEBVの本態はEBウイルス感染症によるリンパ増殖性疾患とされているが、その発症機序は不明である
疫学
日本をはじめとする東アジアに患者が集中している。日本では年間10~20例程度(平均23.8人/年、2005~2009年)の発症が報告されており、男女差はなく、10歳までの小児例が大半を占めるが、成人発症例もある。 全患者数は1000人程度と推定される
臨床症状
1. 発熱 2. リンパ節腫脹 3. 肝脾腫 4. 発疹 5. 間質性肺炎 6. 間質性腎炎 7. ぶどう膜炎 8.冠動脈瘤 など
検査所見
VCA,EA抗体価高値を伴う異常なEBウイルス抗体反応または病変組織(含末梢血)におけるEBウイルスゲノム量の増加を認める。(末梢血において一般に102.5コピー/μgDNA以上が検出されることが多い) 主たるEBウイルス感染細胞がCD3+細胞の場合はT細胞型とし、さらにCD4+細胞とCD8+細胞に分類される。CAEBVでは主にCD4+細胞にEBウイルスが感染していることが多い。CD3-かつCD16+またはCD56+細胞にEBウイルスが感染している場合にはNK細胞型と分類される。 T細胞型CAEBVは、高熱およびVCA-IgG、EA-IgGの抗体価が高いことが特徴的である。NK細胞型CAEBVは、HMB、大顆粒リンパ球増加症、IgE抗体価が高いことが特徴である
治療
抗ウイルス薬(アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン)、免疫賦活療法(IFN-α、IL-2、γグロブリン大量療法)、細胞療法、免疫抑制療法(ステロイド、シクロスポリンA)、など、さまざまな治療法が試みられているが効果は不十分である。現段階では唯一の根治療法は造血幹細胞移植であるが、すべてに患者に推奨されるものではない
合併症
1.多臓器不全 2.血球貪食症候群 3.悪性リンパ腫 4.蚊刺過敏症 5.種痘様水疱症 など
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本免疫不全症研究会