概要
CGD、MPO欠損症、MSMD以外にも白血球の機能異常を示す疾患が報告されている。
病因
疾患の原因となる責任遺伝子が発現する細胞において、数・機能の異常をきたす。
(1) IRF 8欠損症: IL-12産生に関与するIRF8の異常により、単球や樹状細胞が減少する疾患
(2) GATA2欠損症: GATA2は造血幹細胞の発生や維持に関わる転写因子であり、この遺伝子に変異があると造血幹細胞数は減少し、結果、単球、樹状細胞、NK細胞、B細胞も減少する。
3) 肺胞蛋白症:CSF2RAの変異により、肺胞マクロファージの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(M-SCF)に対する反応が障害される。
疫学
メンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症に分類されるIRF 8欠損症は常染色体優性遺伝の遺伝形式を示すが、本疾患群に分類されるIRF 8欠損症は常染色体劣性遺伝である。また、GATA2欠損症は常染色体優性遺伝の遺伝形式を示し、肺胞蛋白症は常染色体の偽遺伝子の両アレル変異によって発症する。
臨床症状
常染色体劣性遺伝のIRF 8欠損症は、単球と樹状細胞の減少により抗酸菌とカンジダに対して易感染性を示し、骨髄の増殖異常を伴う。GATA2欠損症は抗酸菌とパピロマウイルスに対して易感染性を示す。肺胞蛋白症では、肺胞のマクロファージが選択的に障害されるため、肺胞蛋白症をきたす。
治療
IRF 8欠損症とGATA2欠損症は、感染症に対する予防的な抗生剤。抗真菌剤治療が行われる。根治療法として造血幹細胞移植が行われるが、易感染性など移植関連のリスクが課題となる。肺胞蛋白症では、対症療法が行われるが予後は不良である。
合併症
GATA2欠損症: 骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、肺胞蛋白症、リンパ浮腫
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本免疫不全症研究会