概要
選択的IgA欠損症は4歳以上で血清IgA値が7mg/dL以下で、血清IgGおよびIgM値が正常な患者である。
病因
選択的IgA欠損症とCVIDはしばしば同一家系に認められ、選択的IgA欠損症の患者がCVIDに進展することもある。選択的IgA欠損症とCVIDを呈する家系の一部でTACI変異が同定されている
疫学
選択的IgA欠損症は欧米では最も多い抗体産生不全症であるが、わが国における実態は不明である
臨床症状
約2/3の患者は無症状である。症状を呈する患者では反復性ウイルス感染を含む感染症、反復性中耳炎、頻回の副鼻腔肺感染、消化管感染症を認める
治療
無症状の患者に対しては特に治療を必要としないが、易感染性を有する患者に対しては抗菌薬の予防内服を考慮する。感染時には積極的に抗菌薬投与を行う。免疫グロブリン定期補充療法については抗IgA抗体によるアナフィラキシーの可能性が高く、禁忌とする意見もある
合併症
自己免疫疾患や悪性腫瘍の合併を認めることがある。毛細血管拡張性小脳失調症、慢性皮膚粘膜カンジダ症、IgG2サブクラス欠損症の一症状としてIgA欠損が認められることがある
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本免疫不全症研究会