1. 内分泌疾患
  2. 大分類: 高ゴナドトロピン性性腺機能低下症
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63及び64に掲げるもののほか、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症

そのた、こうごなどとろぴんせいせいせんきのうていかしょう

Hypergonadotropic hypogonadism of other etiologies

告示

番号:22

疾病名:20及び21に掲げるもののほか、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症

概念・定義

本疾患は精巣や卵巣自体が原因で機能異常を来した状態の総称である。視床下部・下垂体の異常により二次的に精巣や卵巣の機能障害を来す低ゴナドトロピン性性腺機能低下症とは区別される。精巣や卵巣の発生、分化の過程に明らかな障害が認められる病態は除外する(精巣形成不全、卵巣形成不全のページ参照)。

疫学

各基礎疾患毎に有病率は異なる。Turner症候群(ページ参照)、Klinefelter症候群(ページ参照)、Prader-Willi症候群(ページ参照)、その他の性染色体異常症では大部分の症例で、Down症候群では約半数の症例で高ゴナドトロピン性性腺機能低下症を合併する。Noonan症候群(ページ参照)では、一部の男性で合併するが、有病率は不明である。

病因

先天性と後天性に分類される。先天性では、女性でTurner症候群、男性でKlinefelter症候群、Noonan症候群、男女ともにDown症候群、Prader-Willi症候群、その他の性染色体異常症などが含まれる。Turner症候群では卵子の減数分裂時の染色体対合不全が原因と考えられているが、その他の疾患の病態生理は明らかになっていない。後天性では、性腺腫瘍などによる性腺摘出や性腺への放射線照射、血液疾患や他の腫瘍性疾患への化学療法などの小児がん経験者が含まれる。放射線や化学療法による生殖細胞障害が原因である。

臨床症状

性ホルモン分泌障害と配偶子形成障害が主となる。男性の重症例では、出生時に外性器・性腺の非定型的所見で発見される。具体的には尿道下裂、小陰茎、停留精巣、小精巣ないし精巣退縮である。男性の軽症例では、思春期徴候の発来遅延や不妊症で発見される。具体的には陰茎、精巣、陰毛の発育不良、乏精子症ないし無精子症などである。女性の重症例では、思春期の発来遅延で発見される。具体的には乳房、陰毛の発育不良、原発性ないし続発性無月経である。女性の軽症例では、成人期の不妊症や早発閉経で発見される。その他、各症候群に特徴的な随伴症状が認められる。

検査所見

内分泌検査では、血清ゴナドトロピン(LH、FSH)高値、男性では血清テストステロン、女性では血清エストラジオール低値〜基準範囲内となる。

診断

上記の症状、検査所見により診断する(診断の手引き参照)。

治療

性ホルモン補充療法が主となる。男性の重症例では思春期導入から、軽症例では思春期以降に男性ホルモン補充が必要となる。尿道下裂修正術、精巣固定術が行われる場合もある。女性の重症例では思春期導入から、軽症例では思春期以降に女性ホルモンや黄体ホルモン補充が必要となる。

予後

生命予後は性分化以外の随伴症状に依存し、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症自体で悪化するというデータはない。生殖予後は重症度により多様となる。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会