概念
アルドステロン分泌は正常であるにもかかわらず、先天的な腎尿細管におけるNa再吸収とK排泄能の低下のため塩類喪失症候群 salt-wasting syndromeをきたす疾患群である。
疫学
比較的稀と考えられているが、正確な有病率は不明である。
病因
I 型偽性低アルドステロン症には2つのサブタイプ、すなわちI 型偽性低アルドステロン症A、およびI 型偽性低アルドステロン症Bがある。I 型偽性低アルドステロン症Aの病因はアルドステロン受容体遺伝子のヘテロ接合性変異であり、常染色体優性遺伝を示す。一方、I 型偽性低アルドステロン症Bの病因は腎遠位尿細管管腔側に存在する上皮性ナトリウムチャンネル(ENaC)を構成する3つのサブユニット(α、β、γ)を規定する遺伝子であるSCNN1A、SCNN1B、SCNN1Gのいずれかのホモあるいは複合ヘテロ接合性変異であり、常染色体劣性遺伝を示す。I 型偽性低アルドステロン症AおよびI 型偽性低アルドステロン症Bいずれにおいても、鉱質コルチコイド(アルドステロン)受容体の存在する腎遠位尿細管が結果としてアルドステロンに不応な ためNa再吸収不全をきたし低Na血症、高K血症、代謝性アシドーシスを呈する。Na再吸収不全のため循環血液量は低下し、二次性にレニン・ アンギオテンシン・アルドステロン系が賦活され、高レニン、高アルドステロン血症を呈する。
予後
病初期の低ナトリウム血症および脱水に対して補液を行い、その後、食塩を経口補充する。I 型偽性低アルドステロン症Aの多くの症例で1歳以降に食塩補充が不要となる。 I 型偽性低アルドステロン症Bでは1歳以降にも食塩補充を必要とすることが多い。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会