概念•定義
副甲状腺ホルモン(PTH)に対して抵抗性を示し、PTHが分泌されているにもかかわらず、低カルシウム血症、高リン血症など、副甲状腺機能低下症と同じような症状を呈する状態。偽性副甲状腺機能低下症に肥満、低身長、異所性皮下骨化、短指症、第4中手骨の短縮、円形顔貌、知能障害などを呈するAlbrightの遺伝性骨異形成症(AHO)が合併する病型をPHPIaと呼ぶ。偽性副甲状腺機能低下症Ibにおいては、AHO徴候は伴わず、PTHの抵抗性はほぼ腎臓に限局している。II型は、cAMPの反応があるにも関わらず、尿中リン排泄促進が認められない病型であるが、非常に稀であり、原因は不明である。
疫学
国内での有病率は3.4人/100万人と推定されている。
病因
PTH/PTHrP受容体(PTHR1)と、cAMPを生成するadenylyl cyclase(AC)との間で情報伝達を担うGsaタンパクの質的、量的異常が原因である。GsaタンパクをコードするGNAS遺伝子領域は複雑なimprinting調節を受けていて、異常Gsa蛋白質をコードする遺伝子が母から由来したときのみに子供にもPHPⅠaが発症する。Ib型は、GNAS1遺伝子近傍のimprinting調節領域の異常という報告がなされている。
症状
副甲状腺機能低下症状(低カルシウム血症、高リン血症など)、PTHの高値、および標的器官のPTH不応性に特徴づけられる一群の疾患である。低カルシウム血症は心電図上QTcの延長として気づかれる場合もある。PTH抵抗性はEllsworth-Howard試験により判定される。
治療
活性型ビタミンD投与により、血清カルシウム値を正常に保つ。高カルシウム尿症にならないように投与量を調節する。
予後
短期的には低カルシウム血症を来さないようにビタミンD投与を基本とする治療を行えば問題は無い。時に過剰なビタミンD投与により、尿路結石、腎機能低下、異所性石灰化が問題となる。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会