1. 内分泌疾患
  2. 大分類: 偽性副甲状腺機能低下症
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偽性副甲状腺機能低下症(偽性偽性副甲状腺機能低下症を除く。)

ぎせいふくこうじょうせんきのうていかしょう (ぎせいぎせいふくこうじょうせんきのうていかしょうをのぞく。)

Pseudohypoparathyroidism

告示

番号:9

疾病名:偽性副甲状腺機能低下症(偽性偽性副甲状腺機能低下症を除く。)

概念•定義

副甲状腺ホルモン(PTH)に対して抵抗性を示し、PTHが分泌されているにもかかわらず、低カルシウム血症、高リン血症など、副甲状腺機能低下症と同じような症状を呈する状態。偽性副甲状腺機能低下症に肥満、低身長、異所性皮下骨化、短指症、第4中手骨の短縮、円形顔貌、知能障害などを呈するAlbrightの遺伝性骨異形成症(AHO)が合併する病型をPHPIaと呼ぶ。偽性副甲状腺機能低下症Ibにおいては、AHO徴候は伴わず、PTHの抵抗性はほぼ腎臓に限局している。II型は、cAMPの反応があるにも関わらず、尿中リン排泄促進が認められない病型であるが、非常に稀であり、原因は不明である。

疫学

国内での有病率は3.4人/100万人と推定されている。

病因

PTH/PTHrP受容体(PTHR1)と、cAMPを生成するadenylyl cyclase(AC)との間で情報伝達を担うGsaタンパクの質的、量的異常が原因である。GsaタンパクをコードするGNAS遺伝子領域は複雑なimprinting調節を受けていて、異常Gsa蛋白質をコードする遺伝子が母から由来したときのみに子供にもPHPⅠaが発症する。Ib型は、GNAS1遺伝子近傍のimprinting調節領域の異常という報告がなされている。

症状

副甲状腺機能低下症状(低カルシウム血症、高リン血症など)、PTHの高値、および標的器官のPTH不応性に特徴づけられる一群の疾患である。低カルシウム血症は心電図上QTcの延長として気づかれる場合もある。PTH抵抗性はEllsworth-Howard試験により判定される。

治療

活性型ビタミンD投与により、血清カルシウム値を正常に保つ。高カルシウム尿症にならないように投与量を調節する。

予後

短期的には低カルシウム血症を来さないようにビタミンD投与を基本とする治療を行えば問題は無い。時に過剰なビタミンD投与により、尿路結石、腎機能低下、異所性石灰化が問題となる。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会