概念•定義
疫学
小児に関する明確なデータはない。成人においても比較的稀で、小児では10歳以上でみられるが非常に稀である。小児期発症の場合は多発性内分泌腺腫症 (MEN) I型, II型のような遺伝性の内分泌疾患の部分症状である場合がある。新生児期にCa感知受容体の異常により副甲状腺機能亢進症をきたすことがある
病因
ビタミンD欠乏や腎機能低下などに伴う続発性副甲状腺機能亢進症とは異なり、原発性副甲状腺機能亢進症では、原因は明らかではない。副甲状腺の過形成や腫瘍に伴う。MENなどの遺伝子異常などによる場合がある
症状
高カルシウム血症、尿症。尿路結石。病的骨折、骨粗鬆症。重度の高Ca血症では、膵炎、消化管潰瘍、多飲・多尿、意識障害が見られることがあり、生命に危険のある高Ca血症クリーゼという病態となる。無症候で、臨床検査での異常のみのタイプを化学型と呼び、この頻度は比較的高い
治療
1.外科手術 基本は手術により病的副甲状腺を摘除することにあるが、その適応基準については最新のガイドラインを参考とする。一般的には、血清Ca値が高く、尿路結石や骨変化、腎機能の二次的低下などの病的症状を伴い、副甲状腺の腫大が明らかな場合に適応となる。副甲状腺摘出後に、低Ca血症を来すことが多いことにも注意を要する。 2. 経過観察 軽度の低Ca血症(11.5-12.0 mg/dl以下)で無症状の場合は慎重に経過観察を行うことも可能であるが、進行性であることに注意する。 3.高Ca血症クリーゼ 利尿やビスフォスフォネートなどによりできるだけ速やかに、血清Ca値を低下させる必要がある
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会