概念・定義
病因
多くは原因不明。connexin遺伝子,ホメオボックス遺伝子などの関与が考えられている
疫学
出生10000-20000に対して1程度
合併心奇形
両側上大静脈、単心房、共通房室弁、単心室、心房中隔欠損、心内膜床欠損、肺動脈狭窄、両大血管右室起始症、総肺静脈還流異常、動脈管開存、など多彩
臨床症状
合併する心奇形によるが、当初は肺血流の状況に大きく影響される。肺血流減少型が多く、その場合チアノーゼが高度。共通房室弁逆流で、高度心不全をきたすことがある。肺血流増加型は、肺高血圧となる。 肺炎球菌、インフルエンザ桿菌による髄膜炎、敗血症に罹患しやすく、ときに致命的で、突然死となる。 感染性心内膜炎のリスクも高い。腸回転異常、総腸間膜症などによる腸閉塞、胆道閉鎖などを合併することもある
診断
先天性心疾患患児(時に伴わないことも)で以下の所見を診断の手がかりとする。 胸部エックス線:対称肝を呈する。両側肺にhair lineを認め、気管支は両側eparterial bronchus(肺動脈が気管支と並走する)となる。 心電図:複数のP波形を認める。 心臓カテーテル検査:心房造影による心耳形態(両側右心耳構造)、肺動脈造影により肺動脈と気管支の位置関係(両側eparterial bronchus)を確認できる。 造影CT:肺動脈と気管支の位置関係(両側eparterial bronchus)を確認できる。 腹部CTないしエコー:脾臓を認めない。 血液像:末梢赤血球にHowell-Jolly小体を認める
治療
合併心奇形に対する治療を行う。最終的には2心室修復は困難で、Fontan手術となることが多い。細菌に対するワクチン接種をおこなう
予後
生命予後は合併心奇形による影響が大きい。重症感染症も大きな予後規定因子である。予後不良の疾患である
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会