概要
疫学
本邦の先天性心疾患剖検例の2.6%を占める。Fallot四徴症の16%に当たる。染色体22q11.2欠失症候群の合併が30%ある
症状
新生児期より新生児期よりチアノーゼを認める。肺血流は動脈管または体肺側副血管に依存しているため、それらの血管の開存状況によりチアノーゼの程度に差がある。心雑音は動脈管開存や体肺側副血管による
診断
【心エコー検査】 肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損の場合には、ファロー四徴症と同様に心室中隔欠損、大動脈騎乗があり、それに加え、肺動脈が閉鎖しており右室流出路から肺動脈への血流を認めない。肺動脈は細く、閉鎖状態は漏斗部筋性閉鎖か弁性閉鎖となる。動脈管ないし大動脈からの側副血管から肺動脈への血流を認める。 【胸部エックス線】 ファロー四徴症と同様に左第2弓陥凹(肺動脈主幹部低形成)と心尖部挙上により木靴型となる。右大動脈弓が認められることもある。肺血管影は減少するが、程度は動脈管開存や体肺側副血管の流量による。正側面で胸腺陰影が欠如していれば 22q11.2欠失症候群を疑う。 【心電図】 右軸偏位と右室肥大所見を認める。右室成分が少ない場合もある。 【心臓カテーテル・造影検査 】 心室中隔欠損、大動脈騎乗に加え、右室流出路から肺動脈への血流を認めない。動脈管ないし下行大動脈からの側副血管から肺動脈への血流を認める。MAPCAの描出には造影CTが有用である
治療
【内科的治療】 肺血流維持のために動脈管開存を図る場合にはプロスタグランジンE1を使用する。 【外科的治療】 姑息術として、細い肺動脈に対し短絡術が施行される。MAPCAが多数存在し区域肺動脈を中心肺動脈に吻合する場合にはuniforcalization:UFを実施する。肺動脈の成長を待って、将来的には心内修復術と右室流出路再建術(Rastelli法)が施行される
予後
自然歴では2歳までの死亡率が高い。側副血管が太い例では新生児期に心不全と呼吸不全をきたす。Rastelli手術後も、遠隔期に再手術が必要であったり、不整脈や心機能不全になったりして、予後不良のことがある。ことに中心肺動脈が無かったり、染色体22q11.2欠失症候群での予後は不良である
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会