1. 慢性心疾患
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右冠動脈肺動脈起始症

みぎかんどうみゃくはいどうみゃくきししょう

Abnormal origin of right coronary artery from pulmonary artery

告示

番号:11

疾病名:右冠動脈肺動脈起始症

疾患概念・定義

 正常なら、右冠尖から右冠動脈は起始するが、右冠動脈が肺動脈から起始する異常をいう。右冠動脈が肺動脈という低圧系から起始することため、右冠動脈還流域の虚血となることがある。無症状なら経過観察してもいいとの意見もあるが、突然死の報告もあり、無症状でも手術を行うことが多い。右冠動脈移植術ないし結紮術を行う。

病因

 先天性である

疫学

 非常に稀であり、正確な頻度は不明

臨床症状

 心電図、胸部X線は正常なことが多い。心エコーでは、左右冠動脈が肺動脈から起始していることが観察されるが、確定できない。確定診断は、心臓カテーテル検査、冠動脈CT、MRIでのみ可能となる。心臓カテーテル検査では、肺動脈造影で右冠動脈が造影されるか、大動脈基部造影で右冠動脈が映らない。また、大動脈基部造影で、太い左冠状動脈がまず造影され、続いて側副血管と右冠状動脈が写り、肺動脈が薄く写ることもある。左冠状動脈の選択的造影でより明らかとなる

診断

 カテーテル検査による冠動脈造影、冠動脈造影CT、心臓MRIのいずれか1つの検査で右冠動脈が肺動脈からの起始の異常が証明できた場合に診断する。心エコー検査のみで確定できない

治療

 右冠動脈移植術ないし右冠動脈結紮術を行う。ただ、無症状なら経過観察してもいいとの意見もあるが、突然死の報告もあり、無症状でも手術を行うことが多い

予後

 不明である。ただ、未手術の場合、突然死を起こす可能性があるといわれる。手術後の経過は良好であるが、生涯にわたる経過観察が必要である

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会