概念・定義
心膜の炎症が数ヶ月以上にわたって徐々に出現するか持続するもの。慢性に経過するゆっくりとした心嚢液の増大(浸出性心膜炎)や心膜肥厚(収縮性心膜炎)をきたし、心臓の充満障害を来す疾患。うっ血性心不全症状、呼吸困難などを認め、拘束型心筋症の病態を呈する。心タンポナーデとなることもある。不顕性に発症し発病時期がはっきりしないことが多い。慢性心膜炎の一種である収縮性心膜炎は治療困難のことがある。
病因
病因は、ウイルス性、結核性などがあるが、同定できないことも多い
疫学
小児での有病率は不明であるが、まれな疾患である。小児心筋症の2.5−5%を占める。小児の平均の発症年齢は6歳である
臨床症状
遷延する易疲労、呼吸困難、体重増加不良など。浮腫、肝腫大を認める
診断
[胸部エックス線所見] 胸部エックス線で心拡大を認める場合と認めない場合がある。 [心電図所見] 非特異的なST変化を認めることがある。 [心エコー所見] 診断に有用である。心嚢液貯溜と左室充満障害を認める。 [MRI, CT] 心嚢液貯溜。心膜の肥厚。 [心臓カテーテル、心筋生検] 左室圧がdip and plateau (square root sign)を呈する。 確定診断は、慢性の心不全症状。心エコーで左室充満障害。MRIで心嚢液貯溜、心膜の肥厚
治療
利尿薬投与や運動制限。慢性収縮性心膜炎では外科的に心膜切除をおこなう
予後
遷延性、難治性のことがある。死亡率は15%
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会