概念・定義
病因
横紋筋種は結節性硬化症にしばしば合併する。結節性硬化症では、TSC1遺伝子(タンパク質チュベリン)やTSC2遺伝子(タンパク質ハマルチン)の異常が認められることがある。時に家族性を呈する。 その他の心臓腫瘍の原因は不明である
疫学
剖検例の0.03%を占める。小児入院数の0.002−0.07%を占める
臨床症状
腫瘍が大きいと易疲労など心不全症状。無症状のこともある。腫瘍の場所により、血流障害、刺激伝導障害、心筋収縮障害などをきたす
診断
[理学的所見] 特徴的なものは無い。 [胸部エックス線所見] 非特異的。 [心電図所見] 房室ブロック、脚ブロックを認めることがある。 [心エコー所見] 心房、右室や左室自由壁、心室中隔に腫瘍を認める。 [MRI所見] [MRI、CT所見] 心房、右室や左室自由壁、心室中隔に腫瘍を認める。 [心臓カテーテル、心筋生検] [心臓カテーテル] 診断に必要ではない。 確定診断は心エコー、CT, MRIでおこなう。 横紋筋種 小児で最も多く約40%を占める。胎児期、新生児期から発症することがある。生後、軽快縮小することがある。逆に、致命的なこともある。腫瘍は、心室自由壁や中隔に散在多発したり、孤立性であったりする。大きさと部位により、血行動態に異常を来すことがある。本症の40%が生後6ヶ月以内に死亡する。 線維腫 10%を占める。25%は突然死する。不整脈が多い。手術で摘出可能なことがある。 粘液腫 小児では5−10%である。時に家族性。好発部位は、心房中隔卵円窩で、左房側が多い。茎を有し、心房内に突出する。心室への流入障害を来すこともある。手術で摘出可能である
治療
摘出可能な部位、大きさであれば手術をおこなう。一般に手術での摘出は困難のことが多い。腫瘍が大きいと予後不良である
予後
血行動態異常をきたしていても手術ができない例では予後不良である。死因は突然死や心不全死が多い
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会