概要
病因
CPVTは常染色体優性遺伝例では1q42-q43 に存在するリアノジン受容体RyR2の遺伝子異常が、常染色体劣性遺伝例では1p11-p13.3に存在するcalsequestrin 2 (CASQ2)遺伝子異常が発見された(8, 59~61)。これらの異常により、筋小胞体から大量のCa2+放出がおこり、トリガードアクティビティーを機序とする心室頻拍が起こるとされている
疫学
極めて稀である。全世界でも1000例くらいの報告しかない
臨床症状
失神、突然死をおこす
診断
【診断基準】 1.器質的心疾患を認めず、心電図が正常な40歳未満の患者で、運動もしくはカテコラミン投与により、他に原因が考えられない二方向性心室頻拍、多形性心室頻拍、多形性心室期外収縮が誘発されるもの。 2.発端者もしくはその家族に、CPVTに関連する遺伝子異常を認めるもの。 3.発端者の家族に、心疾患を認めないにも関わらず、運動により多形性心室期外収縮、二方向性心室頻拍もしくは多形性心室頻拍が誘発されるもの。 4.器質的心疾患、冠動脈疾患を認めず、心電図が正常な40歳以上の患者で、運動もしくはカテコラミン投与により、他に原因が考えられない二方向性心室頻拍、多形性心室期外収縮、多形性心室頻拍が誘発されるもの。 1、2、3は確定、4は疑い
治療
頻拍の停止:β遮断薬やATP、ベラパミルを使用する。 頻拍の予防:β遮断薬(プロプラノロール、アテノロール)、Caチャネル遮断薬(ベラパミル), フレカイニドが使用される。ICDの適応も考えられているが、頻回作動の危険性も報告されている。星状神経節ブロックの有効性も報告されている
予後
薬剤投与を行なわなかった場合極めて不良である。薬剤治療を行なっても10年で15から40%死亡すると報告されている
参考文献
1. Leenhardt A, Lucet V, Denjoy I, et al. Catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia in children. Circulation 1995;91:1512-1519. 2. Sumitomo N, Harada K, Nagashima M, et al. Catecolaminergic polymorphic ventricular tachycardia: electrocardiographic characteristics and optimal therapeutic strategies to prevent sudden death. Heart 2003;89:66-70.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会