概念・定義
腎臓が正常時の半分近くに縮小し,機能不全に陥った状態を言う。多くの腎疾患の終局像である。
病因・病態
原発性萎縮腎と続発性萎縮腎に区別され,原発性のものはさらに細小動脈硬化性萎縮腎と,動脈硬化性萎縮腎に区別される。続発性萎縮腎の原因として,腎動脈の狭窄や血栓症による腎虚血,閉塞性尿路障害に伴う腎実質障害,嚢胞性腎疾患における嚢胞の拡大に伴う腎血管の圧迫,慢性腎盂腎炎などがあげられる。慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症を含む,ほぼ全ての進行性腎疾患の末期所見としてみられ,また,原因の如何に関わらず腎代替療法を必要とする末期腎不全患者では,自己腎は多くの場合委縮する。
臨床症状
慢性腎盂腎炎などの遷延性感染や,腎実質障害に伴い腰部の鈍痛~仙痛,頻尿,排尿痛などの膀胱症状,悪心などの消化器症状,種々の神経症状を訴え,血尿,膿尿など,原疾患と腎機能障害に伴う様々な症状を呈しうる。尿濃縮力の低下により,多量の希釈尿や,腎血管の狭窄や逸水による高血圧を呈する場合も多い。高血圧の結果として動悸,めまい,頭痛などを訴え,心筋肥大,網膜炎,脳出血,尿毒症などの合併症をおこしやすい。
診断
繰り返す腎盂腎炎などの既往歴,腎機能低下などの臨床所見により疑い,超音波検査やCT検査などの画像検査により確定診断する。
治療・予後
多くの腎疾患の終末像であり,萎縮した腎は通常回復しない。片側のみの萎縮で,対側腎機能が正常であれば予後良好であるが,腎血管狭窄,虚血に伴う腎性高血圧を合併することも多く,コントロール不良な場合は,萎縮腎摘除が必要になる場合がある、
両側の萎縮腎では透析または移植などの腎代替療法が必要となる。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児腎臓病学会