1. 慢性腎疾患
  2. 大分類: 尿路奇形
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46及び47に掲げるもののほか、尿路奇形

そのた、にょうろきけい

Other urinary tract malformations

告示

番号:21

疾病名:19及び20に掲げるもののほか、尿路奇形

疾患概念

尿路奇形は,発生の段階で生じる形態,位置,数の異常があり,以下のような疾患があげられる。 1) 重複腎盂尿管 2) 異所開口尿管 3) 尿管瘤 4) 巨大尿管症 5) Prune belly症候群

疫学

病因

重複腎盂尿管は最も頻度の高い腎尿管奇形であり,上部腎盂と下部腎盂に由来する尿管がそれぞれ独立して膀胱に開口する完全型と,途中で合流して1本の尿管として膀胱に開口する不完全型がある。 完全型は発生の段階で,胎生4~5週にかけて,中腎管から2本の尿管芽が発生した場合に生じる。2本の尿管は交差し,上部腎盂に由来する尿管は正常より尾側に開口し,下腎盂由来尿管は正常もしくは頭側に開口する(Weigert-Meyerの法則)。 不完全型は,尿管芽が途中で分枝して発生したものであり,中部尿管で分枝するものが半数程度を占める

臨床症状

診断

反復性尿路感染症や水腎症の精査の際に偶然発見される場合が多い。経静脈性腎盂造影,超音波検査,CT, MRIなどの画像検査で診断するが,異所開口尿管を伴う場合には,膀胱尿道鏡が開口部の同定に有用である。また,排尿時膀胱尿道造影(VCUG)にて,異所開口尿管内や対側尿管あるいは下部腎盂由来の姉妹尿管への逆流を認める場合が多い。

治療

異所開口尿管に伴う逆流症や,閉塞性尿路障害,腎機能障害などの無い症例では治療を要さない。一方,反復性の尿路感染症や,水腎・水尿管症に伴う腎機能障害を呈する症例では,その原因により尿路変更術や腎尿管摘出術が必要となる場合がある。

予後

成人期以降の注意点

重複腎盂尿管,異所開口尿管や尿管瘤では,膀胱尿管逆流が残存する例や膀胱尿管新吻合術を行った例では,尿路感染症の反復や再燃に注意し,泌尿器科との連携をとりつつ経過観察を行う必要がある。腎尿管摘出術を行った例では,対側や姉妹尿管への逆流の有無の確認と,定期的な残存腎機能の評価を行う。 Prune belly症候群で,小児期に生じた腎機能障害が残存する例では,腎機能障害が進行する場合が多く,定期的な腎機能評価を続ける必要がある。また,必要に応じて腎不全管理を行う。

参考文献

Elder JS. Obstruction of the urinary tract. In Kliegman RM, Stanton B, et al. (Eds.) Nelson textbook of Pediatrics 18th edition. pp2234-2243, Saunders Elsevier, Philadelphia, 2007
:バージョン1.0
更新日
:2015年3月30日
文責
:日本小児腎臓病学会