1. 悪性新生物
  2. 大分類: 中枢神経系腫瘍
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膠芽腫

こうがしゅ

Glioblastoma

告示

番号:52

疾病名:膠芽腫

概念・定義

グリオーマは、脳および脊髄にみられるグリア細胞から発生する。グリオーマは、臨床病理学的および組織学的サブタイプに従って命名される。例えば、星細胞を起源とする星細胞腫は、小児のグリオーマで最も多く診断されるタイプである。脳腫瘍のWHO分類に従うと、グリオーマはさらに低悪性度(WHOグレードIおよびII)と高悪性度(WHOグレードIIIおよびIV)の腫瘍に分類される。  膠芽腫は著明な退形成と高い増殖活性を示す膠腫で、脳実質内に浸潤性破壊性に増殖するWHOグレードIVの高悪性度星細胞腫である。病理組織学的検査では、腫瘍細胞の密度が高く、構成細胞は多種多様の形態を示す。核分裂像、壊死巣を認める。多くの腫瘍細胞でGFAP(glial fibrillary acidic protein)の免疫染色が陽性である。

疫学

本脳腫瘍統計による15歳未満の脳腫瘍の病理組織型別頻度によると、膠芽腫は3.5%を占める。中枢神経系のいずれの部位にも発生する可能性があるが、膠芽腫の好発部位は、大脳であるが、ときに小脳、脳幹および脊髄にも発生する。

病因

多くの場合不明であるが、神経線維腫症I型やLi Fraumeni症候群などの家族性腫瘍症候群の患者や、過去に放射線治療などの抗がん治療を受けた患者での発生頻度が高いことが知られている。

症状

大脳に発生:朝方に起こる頭痛・悪心・嘔吐。筋力低下、けいれん発作、行動の異常な変化。頭囲拡大、発達遅滞。 小脳に発生:ふらつき、歩行困難。 脳幹に発生:眼球運動以上、顔面神経麻痺などの脳神経症状。 脊髄に発生:背部痛、排便・排尿障害、筋力低下、歩行障害。

治療

可及的な肉眼的腫瘍的手術、腫瘍床への局所放射線療法が治療の基本となる。小児の膠芽腫治療における化学療法の意義は確立されていないが、テモゾロミドなどのアルキル化剤が試みられることがある。デキサメタゾンなどの糖質ステロイドの適切な投与は症状緩和に有用である。

予後

2年生存率は20%未満であり、生命予後は非常に厳しい。ただし、3歳未満の乳幼児の症例では比較的予後が良いことが知られている。

参考文献

Fangusaro J: Pediatric high grade glioma: a review and update on tumor clinical characteristics and biology. Front Oncol. 2012 Aug 24;2:105
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児血液・がん学会、日本小児神経外科学会