診断の手引き

  1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症
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先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症

せんてんせいぐりこしるほすふぁちじるいのしとーるけっそんしょう

Inherited GPI deficiency (IGD)

告示

番号:45

疾病名:先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症

状態の程度

運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合

診断基準

A 症状

1. 主症状
  周産期異常を伴わない知的障害・運動発達障害(必発)。多くはてんかんを伴い、時に家族性に見られる。
2. 他に頻度の高い症状や重要な症状として以下の症状がある。
 ① 新生児期、乳児期早期発症の難治性てんかん
 ② 顔貌異常 : 両眼解離・幅の広い鼻梁・長い眼裂・テント状の口・口唇、口蓋裂・耳介の形態異常
 ③ 手指、足趾の異常: 末節骨の短縮・爪の欠損、低形成
 ④ その他の奇形 : 肛門、直腸の異常・ ヒルシュスプルング病・水腎症・心奇形など
 ⑤ 難聴・眼、視力の異常
 ⑥ 皮膚の異常:魚鱗癬など
 ⑦ 筋緊張低下、関節拘縮、四肢の短縮
 ⑧ 易感染性


B 検査所見

1. 多くは末梢血顆粒球のフローサイトメーター解析によりCD16の発現低下を示す。
2. 以下の検査所見が見られることがある。
 ① 高アルカリホスファターゼ(ALP)血症(年齢別正常値の上限を超える)
 ② 手指・足趾のX線写真で末節骨欠損
 ③ 聴性脳幹反応(ABR)の異常
 ④ 脳MRIの拡散強調画像(DWI)あるいはT2強調画像にて基底核・脳幹の高信号領域、進行性の小脳萎縮、髄鞘化の遅延


C 遺伝学的検査等

GPIアンカー型タンパク質の生合成および発現・修飾・輸送に関与する遺伝子(PIGA, PIGY, PIGQ, PIGH, PIGC, PIGP, PIGL, PIGW, PIGM, PIGX, PIGV, PIGN, PIGB, PIGB, PIGO, PIGF, PIGG, PIGZ, PIGK, PIGT, PIGS, GPAA1, PIGU, PGAP1, PGAP2, PGAP3等のいずれかの機能に影響する変異を認める。
(備考)以下の場合に遺伝子解析に進む。
 ① A-1とB-1を満たすもの
 ② A-1を満たしA-2、B-2のうち合わせて1つ以上を満たす場合


D 鑑別診断

先天性GPI欠損症が原因ではない大田原症候群、West症候群、Lennox-Gastaut症候群などの難治性てんかん、種々の程度の精神発達遅滞・知的障害、Hirschsprung病、口唇・口蓋裂


E-1 確実例

A-1とCを満たすもの


E-2 疑い例

A-1とB-1を満たすもの

参考文献

  • Tanigawa et al. Phenotype-genotype correlations of PIGO deficiency with variable phenotypes from infantile lethality to mild learning difficulties.Hum Mutat. 2017 Jul;38(7):805-815.
  • Murakami Y, Kinoshita T.Inherited GPI deficiencies:a new disease with intellectual disability and epilepsy.No To Hattatsu. 2015 Jan;47(1):5-13. Review.
  • Kuki I et al. Vitamin B6-responsive epilepsy due to inherited GPI deficiency. Neurology. 2013 Oct 15;81(16):1467-9.
:バージョン1.0
承認日
文責
:日本小児神経学会