診断方法
臨床的診断基準のうち大症状1つ、または小症状2つ以上のいずれかを満たす。大症状2つ、または大症状1つと小症状2つのいずれかが認められれば、診断はより確実である。 小症状1つだけの場合は、遺伝学的診断基準を満たすこと。
臨床的診断基準
A. 大症状
- 脱色素斑(白斑、3つ以上)
- 顔面血管線維腫(3つ以上)または前額線維斑
- 爪線維腫(2つ以上)
- シャグリンパッチ(粒起革様皮)
- 多発性網膜過誤腫
- 皮質結節または放射状大脳白質神経細胞移動線※1
- 上衣下結節
- 上衣下巨細胞性星細胞腫
- 心横紋筋腫
- リンパ脈管筋腫症※2
- 腎血管筋脂肪腫(2つ以上)※2
B. 小症状
- 金平糖様白斑
- 歯エナメル小窩(3つ以上)
- 口腔内線維腫(2つ以上)
- 網膜無色素斑
- 多発性腎嚢胞
- 腎以外の過誤腫
C. 注釈
- ※1.
- 皮質結節と放射状大脳白質神経細胞移動線の両症状を同時に認めるときは1つと考える。
- ※2.
- リンパ脈管筋腫症と腎血管筋脂肪腫の両症状がある場合は確定診断するには他の症状を認める必要がある。
遺伝学的診断基準
TSC1またはTSC2遺伝子の病因となる変異が正常組織からのDNAで同定されれば、結節性硬化症の確定診断に十分である。 病因となる変異は、TSC1またはTSC2タンパクの機能を不活化したり(例えばout-of-frame挿入・欠失変異やナンセンス変異)、タンパク産生を妨げる(例えば大きなゲノム欠失)ことが明らかな変異、あるいはタンパク機能に及ぼす影響が機能解析により確立しているミスセンス変異と定義される。
それ以外のTSC1またはTSC2遺伝子の変化で機能への影響がさほど確実でないものは、上記の基準を満たさず、結節性硬化症と確定診断するには不十分である。
結節性硬化症患者の10〜25 %では一般的な遺伝子検査で変異が同定されず、正常な検査結果が結節性硬化症を否定する訳ではなく、結節性硬化症の診断に臨床的診断基準を用いることに何ら影響を及ぼさない事に留意すべきである。
当該事業における対象基準
運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児神経学会