1. 神経・筋疾患
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PURA関連神経発達異常症

ぴーゆーあーるえーかんれんしんけいはったついじょうしょう

PURA-related neurodevelopmental disorders

告示

番号:73

疾病名:PURA関連神経発達異常症

疾患概念

5q.31.3領域にあるPURA遺伝子のヘテロ接合性の病的バリアントないしは同領域の染色体微細欠失を原因とする。重度の知的および運動発達の遅れを特徴とする先天異常症候群である。他に筋緊張低下、低体温、傾眠、摂食障害、吃逆過多、無呼吸やてんかん、非てんかん性の異常運動(ジストニアなど)、視覚障害を認める。ほかに、先天性心疾患、尿路奇形、骨格異常、内分泌異常などを合併することもある。多臓器にわたる症状は成人期以降も持続する。

疫学

現在まで、約100例が報告されている。知的障害の約0.3~0.5%と推定する報告もある。

病因

5q.31.3領域にあるPURA遺伝子のヘテロ接合性の病的バリアントないしは同領域の染色体微細欠失を原因とする。PURA遺伝子の機能喪失変異ないしはハプロ不全が原因である。PURA遺伝子はDNAの複製や転写に関与しており、特に中枢神経の正常発達に不可欠と考えられている。

臨床症状

重度の精神発達遅滞、筋緊張低下、てんかんを認める。眼振や斜視、無呼吸発作・低換気、先天性心疾患、哺乳不良・摂食障害、嚥下障害、胃食道逆流、便秘など。骨格では、側弯や股関節脱臼などを認める。

検査所見

頭部MRIでは、髄鞘化遅延非特異的な白質の異常を認める。

診断

臨床症状の組み合わせから本症を疑い、GRIN2Bに病的バリアントないしはGRIN2Bを含む5q31.3の微細欠失を認めれば診断が確定する。

診断の際の留意点/鑑別診断

中枢性の換気障害、重度的障害をきたす疾患が鑑別となる。

治療

対症療法が中心となる。早期からのリハビリテーションや療育の参加は重要。摂食障害や哺乳障害などには経管栄養も考慮する。また、逆流や誤嚥性肺炎などを繰り返す場合には胃ろう造設も考慮する。てんかんに対しては抗てんかん薬を用いる。無呼吸や換気障害では、呼吸モニターを行う。

予後

合併するてんかんなどの神経症状および無呼吸発作や低換気などの呼吸障害、気道感染などが予後を左右する。

研究班

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「先天異常症候群のライフステージ全体の自然歴と合併症の把握:Reverse phenotypingを包含したアプローチ」

成人期以降の注意点

栄養管理や関節拘縮、側弯の進行、てんかん発作の変化、気道感染に注意する。

参考文献

  1. Reijnders MRF, Leventer RJ, Lee BH, et al. PURA-Related Neurodevelopmental Disorders. In: Adam MP, Ardinger HH, Pagon RA, et al., eds. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; April 27, 2017.
:第1版
更新日
:2021年11月1日
文責
:日本小児遺伝学会
日本小児神経学会