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慢性炎症性脱髄性多発神経炎

まんせいえんしょうせいだつずいせいたはつしんけいえん

Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP

告示

番号:78

疾病名:慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー

概念・定義

再発性または慢性進行性に末梢神経の脱髄を生じ、筋力低下あるいは感覚障害を示す自己免疫性炎症性疾患である。

病態

発症には液性免疫機序と細胞性免疫機序の両者が関与すると考えられている。特異的な自己抗体は見つかっていないが、最近ランヴィエ絞輪およびその近傍に発現する接着分子が標的抗原として注目されている。

症状

2ヶ月以上にわたり再発性あるいは慢性進行性の経過をとる。
典型的CIDPでは、左右対称性の筋力低下と感覚低下・異常感覚を生じる。近位筋と遠位筋が同様に侵されることが特徴である。深部腱反射は低下ないし消失する。深部感覚障害による失調や振戦もしばしば認められる。時に脳神経障害や自律神経障害も呈する。
非典型的CIDPとして、遠位優位型・非対称型・限局型・純粋運動あるいは感覚型がある。
20歳以下の場合には、亜急性に発症し、運動症状が優位で、再発寛解型を呈することが多い。

検査所見

末梢神経伝導検査における脱髄の所見(伝導速度の低下、伝導ブロックまたは時間的分散の存在、遠位潜時の延長、F波の欠如または最短潜時の延長)が最も重要な所見である。髄液検査では蛋白細胞解離が見られる。またMRIにおける神経根、馬尾あるいは神経叢の肥厚ないし造影所見も特徴である。末梢神経生検は必須ではないが、脱髄と炎症性細胞の浸潤は診断を支持する所見であり、また他疾患の鑑別に有用なことがある。

治療

副腎皮質ステロイド薬、経静脈的免疫グロブリン療法、血漿浄化療法などの免疫療法を行う。

予後

再発性または慢性進行性の経過をとることが多く、筋萎縮や重度の身体障害、呼吸障害を生じることもあるが、小児期発症例は成人例よりも予後が良いとされる。

成人期以降の注意点

運動・感覚障害を後遺する患者や成人期に至っても治療継続を必要とする患者においては、長期治療による副作用に注意するとともに、整形外科的管理やリハビリテーション、社会的な支援を行う。

参考文献

  1. 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2013. 監修 日本神経学会 編集「慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン」作成委員会. 2013年,南江堂.
  2. 難病情報センター:慢性炎症性脱髄性多発神経炎(http://www.nanbyou.or.jp/entry/333)免疫性神経疾患に関する調査研究班
:バージョン2.0
承認日
文責
:日本小児神経学会