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脳動静脈奇形

のうどうじょうみゃく きけい

Cerebral arteriovenous malformation (Cerebral AVM)

告示

番号:73

疾病名:脳動静脈奇形

概念・定義

大小様々な異常動静脈間に直接吻合があり、異常な血管塊(ナイダス)がある。毛細血管が欠損しており、動脈血は直接静脈系に移行する。

病因

原始動脈、毛細血管、および静脈が分かれる胎生早期に発生する先天性異常である。

疫学

年間発見率は1.1-1.4人/10万人である。
男女比は1.1-2.0:1で男性に多い。
10~30歳代の若年者の発症が多い。

臨床症状

50%が出血で、20~25%がてんかん発作で発症する。頭痛、耳鳴、その他の脳局所症状などの例もある。無症候性例も多く、画像検査により偶発的に発見されることもある。
未出血例の年間出血例が1~3%にみられ、出血例では出血から1年間の再出血率は6~18%である。出血時の死亡率は10%、その他出血の部位とサイズにより意識障害、高次脳機能障害、麻痺や半盲などの局所神経欠落症状を呈する。
てんかん発作は出血例の23%、未出血例の8%に認める。発作型は様々である。
大きいナイダスに脳血流を奪われること(盗血減少)により、頭痛や意識障害、局所症状を起こすことがある。
静脈還流障害により頭蓋内圧亢進症状を来す例がある。

検査所見

AVMの存在、脳出血の有無はCTとMRIで診断する。
治療選択のため脳血管撮影、脳血流検査、脳波等を行う。
AVMの摘出難易度の指標としてSpetzler-Martin 分類があり、これはMRIと脳血管撮影によってナイダスの大きさ、周囲脳の機能的重要性、導出静脈の型を得点化してgrade I~Vに分類するものである。脳の機能的重要部位とは運動野、感覚野、言語中枢、視覚野、視床、視床下部、内包、脳幹、小脳脚、小脳の深部核を指す。

診断の際の留意点

脳腫瘍、海綿状血管腫、静脈性血管腫などが鑑別に上がるが、特徴的な画像所見から鑑別に苦慮することは少ない。そのため診断基準は設けられていない。

治療

脳動静脈奇形摘出術(K172)
脳血管内手術(K178)
直線加速器による放射線治療 定位放射線治療(M001-3-1)
いずれも保険診療内で行える。

合併症

脳動脈瘤、もやもや病

予後

初回出血による死亡率は10%、再出血による死亡率は13%である。
出血例でのmRS 3以上の予後不良例は83%にみられる。

成人期以降の注意点

臨床症状で示したごとく、成人以降も発症するリスクがある。
出血例での再出血、治療後の再発、嚢胞形成などの問題点がある。

参考文献

  1. 脳神経外科学 改訂12版、太田富雄 編、金芳堂
:バージョン1.0
承認日
文責
:日本小児神経学会