診断の手引き

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ピルビン酸キナーゼ欠乏性貧血

ぴるびんさんきなーぜけつぼうせいひんけつ

Hemolytic anaemia due to red cell pyruvate kinase deficiency

告示番 号7
疾病名ピルビン酸キナーゼ欠乏性貧血
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診断方法

A. 症状

慢性溶血性貧血の一般症状: 貧血、黄疸、脾腫、胆石症。12
感染症や妊娠時の貧血の増強 (急性溶血発作)3
新生児黄疸の遷延・増強

B. 検査所見

溶血性貧血4: 血管内溶血である。Hb低下、網状赤血球増多、間接ビリルビン増加、LDH増加、ハプトグロビン低下、ヘモグロビン尿を呈する。
MCV正常~高値
赤血球形態: 一般に赤血球形態異常は認めない。但し、診断未確定のまま脾摘を受けた患者において赤血球 (acanthocyte)を認めた場合は本症を疑う。
直接抗グロブリン試験陰性
浸透圧脆弱性試験陰性5
イソプロパノール試験陰性
自己溶血試験 (autohemolysis test): 中等度溶血がみられ、Dacieの第II型を示す (自己溶血が、ぶどう糖添加では改善せず、ATP添加により軽減する)。
赤血球PK活性低下6 7
PK遺伝子変異の同定

A①~③、B①~⑦より非球状溶血性貧血であることを確認し、赤血球のPK酵素活性の低下をもって確定診断とする。

参考条項

1)
貧血、黄疸、脾腫は本症では一般的に認める。ビリルビン結石や髄外造血による頭蓋異常がみられることも稀でない。軽症例では代償されて貧血を認めず、黄疸のみが唯一の所見であることもある。
2)
溶血性貧血以外の症状は一般的ではないが、数家系において慢性の下腿潰瘍を呈した報告がある。
3)
一般に乳幼児期までに発症し、貧血は高度である。それ以降に発症する型は貧血は軽く、予後が良い。
4)
溶血により造血が亢進するため、相対的葉酸欠乏により低形成発作を来すことがある。
5)
赤血球形態異常が目立たない場合も、可能であれば遺伝性球状赤血球症などの赤血球膜異常による溶血性貧血の鑑別を行うことが望ましい。
6)
一般に、PK活性レベルと貧血の程度は相関しない。基質親和性 (K0.5s (PEP))が悪く、熱に不安定な変異酵素では臨床症状は重篤である。
7)
PK活性が正常の5 - 25%に低下している場合が多い。白血球はアイソザイムが赤血球と異なる為、本症においてもPK活性は低下せず、赤血球の300倍のPK活性を有すことから検査法によっては、検体への白血球の混入について注意が必要である。

当該事業における対象基準

検査で血中ヘモグロビン値10.0g/dL以下又は赤血球数350万/μL以下が(断続的な場合も含めておおむね6か月以上)持続する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会
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