診断の手引き

16

グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏症

ぐるこーすろくりんさんだっすいそこうそけつぼうしょう

Glucose-6-phosphate dehydrogenase deficiency

告示番 号4
疾病名グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏症
疾患概要、医療意見書等のダウンロードはこちら

診断方法

A.症状

  1. 貧血*1
  2. 新生児黄疸の遷延・増強*2
  3. 溶血発作: 薬剤や感染に誘発され、貧血と黄疸が出現する。

B.検査所見

  1. 溶血性貧血*3: 血管内溶血である。Hb低下、網状赤血球増多、間接ビリルビン増加、LDH増加、ハプトグロビン低下、ヘモグロビン尿を呈する。
  2. MCV正常~高値
  3. 赤血球形態: 一般に赤血球形態異常は認めない。溶血発作時には、末梢血にてHeinz小体 (ブリリアントクレシル青染色などの超生体染色で観察される赤血球内に凝集した変性ヘモグロビン)やbite cell (blister cell. Heinz小体が脾臓の網内系で取り除かれた結果生じると考えられる)が出現する場合がある。*4
  4. 直接抗グロブリン試験陰性
  5. 浸透圧脆弱性試験陰性*5
  6. イソプロパノール試験陰性
  7. 赤血球G6PD活性低下*6,*7
  8. G6PD遺伝子変異の同定

A.1~3、B.1~6 より非球状溶血性貧血であることを確認し、赤血球のG6PD酵素活性の低下をもって確定診断とする。

参考条項

*1)
慢性的に貧血を呈す場合もあるが、多くは無症候性である。薬剤、感染、またはソラマメ摂取による急性溶血発作で貧血が顕在化する。
*2)
ビリルビンのグルクロン酸抱合障害を伴い、溶血所見を認めないにも関わらず高度黄疸を呈す場合がある。溶血の有無を問わず、原因が明らかでない高度新生児黄疸を認めた場合には本症を鑑別疾患の一つとして考慮する必要がある。
*3)
軽症例では代償されて貧血を認めないこともある。また、G6PD酵素活性が著減している場合を除き、非ストレス環境下においては溶血所見もみられないことも多い。
*4)
不安定ヘモグロビン症でも認められ、本症に特異的な所見ではない。
*5)
赤血球形態異常が目立たない場合も、可能であれば遺伝性球状赤血球症などの赤血球膜異常による溶血性貧血の鑑別を行うことが望ましい。
*6)
溶血発作に進展するリスクやその重症度は酵素活性レベルに相関する。以下にG6PD酵素活性レベルと臨床経過に基づく分類を示す (WHO, 1989)。Class IV及びVに属するG6PD変異型は臨床的意義を持たない。
Class I:
酵素活性が高度低下 (正常の10%未満)しており、慢性的に溶血性貧血 (chronic non-spherocytic hemolytic anemia; CNSHA)を認める。
Class II:
酵素活性が高度低下 (正常の10%未満)しているが、溶血発作は間欠的である。
Class III:
酵素活性が中等度低下 (正常の10 - 60%)しており、感染や薬剤などによる酸化ストレスを契機に間欠的に溶血発作を認める。
Class IV:
酵素活性の低下がなく (正常の60 - 100%)、貧血を認めない。
Class V:
酵素活性が増加しており (正常の100%<)、貧血を認めない。
*7)
溶血発作の直後等、G6PD活性の高い幼若赤血球が増加している場合は診断を誤る可能性があり注意が必要である。

当該事業における対象基準

検査で血中ヘモグロビン値10.0g/dL以下又は赤血球数350万/μL以下が(断続的な場合も含めておおむね6か月以上)持続する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児血液・がん学会
「小児慢性特定疾病の対象疾患について」に戻る